- 発行日 :
- 自治体名 : 宮崎県日向市
- 広報紙名 : 広報ひゅうが 令和7年8月号 No.843
昭和20年4月26日午前6時頃、B29爆撃機が飛来し、富高飛行場、櫛の山、塩見、富高、秋留、平岩をおよそ1時間にわたり爆撃しました。平岩地区では、鵜毛の上赤木(現在の鵜毛トンネル付近)から日の平が標的になりました。当日は分厚い雲が空を覆い、雨が降っていたことから、盲爆とも言われています。
鵜毛では当時、食糧難の背景から上赤木に設置されていた、富高実業高校(現富島高校)の農場が狙われ、複数の不発弾が残りました。そのうちの一つを帰還兵たちが籾木に持ち帰り、信管を抜く安全処理を行いました。昭和25年頃から籾木公民館に吊るし、地区の集会の時には鐘を3回鳴らし、火事などの緊急時は乱打したそうです。その後公民館建替の際に倉庫に保管され、長い間存在を忘れられていました。
鐘を保管していた地元有志たちの「このまま忘れられてはいけない」という想いから、籾木区、区の老人会、鐘の設置に賛同した原鉄工所(財光寺)と虹工房(大王町)で予算を出し合い、令和3年12月8日、「平和の鐘」としての設置に至りました。
鐘は直径約35cm、高さ約45cmで、高さ約2・5m、幅約1・5mの鉄柱に吊るされています。胴部から後ろを切断して、安全処理を施しています。現在では8月6日(広島原爆の日)、9日(長崎原爆の日)、15日(終戦記念日)に鐘を鳴らし、地区住民で平和を祈ります。
日向市では平和の鐘の他にも掩体壕(えんたいごう)の一部(財光寺)や複数の慰霊碑など、戦争遺構が数多く残されています。戦後80年のこの機会に平和について考えてみませんか。
アクセス:南日向駅から南西およそ3km
問い合わせ:教育総務課文化財係
【電話】66・1036