文化 いぶすきまるごと博物館 vol.213

■「揖宿神社」と能面
揖宿神社は「新宮サー」と称され、指宿の人々に親しまれています。社殿は本殿・舞殿・拝殿・勅使殿が一直線に並び、東長庁と西長庁が左右に配されており、市指定文化財に指定されています。現在の社殿は弘化4年(1847)に第十代鹿児島藩主島津斉興(しまづなりおき)が建造した物です。花こう岩で造られた鳥居は嘉永元年(1848)に斉興の命令で大隅半島の根占から運ばれて建てられた物といわれ、揖宿神社の神様が牛を嫌うことから、牛を使わずに台車に積んで海岸から神社まで多くの人々によって運ばれたと伝えられています。
揖宿神社には県指定天然記念物「揖宿神社の社叢(しゃそう)」、や市指定文化財「調所笑左衛門廣郷銘手水鉢(ずしょしょうざえもんひろさとめいちょうずばち)2点」など数多くの指定文化財が保存されています。そのうちの一つ、県指定有形文化財「能面」は、尉面(じょうめん)(老いた男性の顔)・姫面(ひめめん)(若い女性の顔)・狂言面(きょうげんめん)(狂言という滑稽な劇に使う面)の3面から成り、由緒や作者は不明ですが室町時代中期作とされ、「能」や「狂言」などの芸能を奉納するといった祭りの時に使われたとされています。日本で能や狂言が完成した時代の物で、他には栃木県の日光二荒山(にっこうふたらさん)神社に同類の物があるといわれるのみで、とても珍しく貴重な文化財です。

問合せ:生涯学習課文化財係