- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県霧島市
- 広報紙名 : 広報きりしま 2025年3月上旬号
■私が民生委員・児童委員、主任児童委員になった理由(わけ)
多岐にわたる民生委員・児童委員、主任児童委員の活動。なぜ人のためにそこまでできるのか。委員になった理由や、続ける理由を尋ねました。
一人暮らしの高齢者や障がい者・生活困窮者のいる世帯、妊産婦やひとり親家庭などさまざまな世帯を見守り、高齢者・子育てサロンを運営して地域の居場所づくりを担うほか、募金活動やあいさつ運動にも精を出す民生委員・児童委員。聞いただけでも忙しそうと思ってしまう活動を担う市内の委員の年齢は、65~74歳が約6割を占め、2期以上務める人が9割を超えるほどの再任率です。なぜ多くの人が委員を引き受け、笑顔で続けられているのでしょうか。
《人との出会いは宝》
立山早美さん(73)
横川町在
住横川地区で民生委員・児童委員を15年続けている立山早美さん(73)は「初めて声をかけられた時は、民生委員・児童委員のことを知らなくてね。何をするのか分からなかったけれど、頼まれた事は引き受けなさいと、ちょうど居合わせた姉に背中を押されてすることにしました」とはにかみます。委員になってからは、一人暮らしの高齢者宅への定期的な訪問や、地域の人たちの居場所づくりになればとグラウンドゴルフのチームづくりにも尽力しました。「私が会いに行くとみんな喜んでくれて、いつも1時間ぐらいは話し込んでしまう。これまで大変だと思った事もあったけれど、うれしかった事しか覚えてないですね。委員になったからこそ出会えた人たちがたくさんいる。そんな人との出会いが私にとっての宝です」と笑顔で話す立山さん。「始めたころに比べて一人暮らしの世帯が多くなり、高齢化も進んでいる。委員が回らなきゃいけない所は多いのに、担い手がいないのが現状。自分自身にとっても良い学びの機会なので、声がかかったらぜひやってみてほしいですね」
▽霧島地区高齢者サロン参加者
[INTERVIEW]みんなに会うのが楽しみ
橋口アヤ子さん(99)
友人に誘われて高齢者サロンに参加するようになりました。サロンでは、体操や季節に合わせた行事などさまざまな催しがあります。何よりみんなに会っておしゃべりするのが楽しみで、毎回参加しています。サロン後に、参加した人たちと昼食やカラオケに出かけたりもします。長く一人暮らしをしており、民生委員・児童委員の方々が自宅に来てくれるなど気にかけてもらえるので、とても心強く思っています。
《地域で見守る子育て》
子どもや子育てに関する支援を専門に活動する主任児童委員は、学校やこども・くらし相談センターなどと連携を取りながら子育て世帯を見守っています。「保護者から不登校の相談があり、学校へ一緒に行くこともあります。声を上げてくれる人たちに対しては私たちも動けるのですが、自分たちだけで悩んでしまっている人には力を貸してあげられない。相談先があることをぜひ知ってほしいですね」と話すのは、国分地区の主任児童委員を務めて3年目の平原裕子さん(49)です。「悩むことも多いし、まだまだできていない事もあると思います。仕事との調整が大変なときもあり、周りに頼ることも多い。それでも、子どもの成長のために第三者的立場の人は必要だと思うし、少しでも力になりたいと思う」
《関係を編む》
「昔に比べると子どもたちを取り巻く環境は大きく変わっていると感じます。住んでいる地域に子育て世帯の居場所をつくって、異世代の交流を増やしたい。そしてそこを巣立った人が大人になった時、同じように支え合える環境づくりをしてくれたらうれしい」と話すのは、隼人地区で主任児童委員を18年続けている新田(にった)瑠璃子さん(68)です。
新田さんたちの思いにより隼人地区で始まった「地域の子育てサロン」。今では市内各地区に広がり、主任児童委員を中心に民生委員・児童委員と共に子育て世帯の居場所となっています。「小さい頃からの関係づくりが大切だと考えています。いつでも相談できる関係ができていれば、子育ての悩みや困り事に手を差し伸べることができる。寄り添うことの難しさや解決できなくて悩むこともありますが、サロンに参加していた親子に街中で声をかけられたり、小さかった子どもの成長した姿に出会えたりとささやかな喜びがあるから続けていられる。民生委員・児童委員は『つなぐ』役割だとよくいわれますが、ただバトンのように渡してしまうのではなく、人と人との関係を『編む』ようにしてつながり合っていきたいですね」と新田さんはほほ笑みます。
▽子育てサロン「のびのび」参加者
[INTERVIEW]いろいろな人と交流できる
本村真希さん(33)・早笑(さえ)ちゃん(3)
子育てサロンには民生委員・児童委員の方がたくさんいて、子どもにとっては親以外の大人と触れ合う貴重な機会になっています。初めて参加した時は緊張した様子でしたが、今ではわが物顔で走り回っています。10月は運動会、1月は正月遊びといった季節にぴったりの遊びや、手作りの大型絵本などもあり、楽しんで参加しています。私たち保護者にも温かな声をかけてもらえるので、相談もしやすいですね。
■自分の時間を割いて、人のために動く人たち。きっと苦労も悩みもたくさんあると思いますが、皆さん笑顔で話されるのが印象的でした。多くの人と関係を『編んで』きたからこそ、より豊かな時間を過ごせているのかもしれません。あなたも民生委員・児童委員、主任児童委員になってみませんか。