- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県南大隅町
- 広報紙名 : 広報南大隅 令和7年10月号
〔南大隅町地域おこし協力隊 活動報告〕
■『旬の食材から伝わる何気ない食卓の大切さ』地域おこし協力隊 平塚雅人
・略歴
食事ライター。元八百屋の店主。旬の食材と自然との関係性を探求し、気候変動に伴う生産現場の苦労と食材の大切さを発信。自然を利用するバランスを大切にするために、ムダとムリのない暮らしの食卓を伝える。
◇旬の食材の大切さは姿形だけでは語れない
今年の4月から着任してから半年が経過しました。「半農半X」のミッションで各地域で農作業をしてきながら見えてきたことは、市場の影響で出荷しない作物が多いことでした。私は、消費者の作物に対する印象をより明確にするべく、「規格外品に対する印象調査」を友人ら20人へ実施し、以下にじゃがいも(品種:メークイン)の調査結果の一部を抜粋しました(図1と図2)。このアンケートでは、栽培方法については触れず、生産現場の苦労を伝えることを趣旨として回答のご協力をいただいています。じゃがいもの大きさは、3cm程度です。


調査では、大きさが気になるという回答が半数、特に気になるところはないという回答が過半数、食味はほぼ「美味しい」に一致する結果でした。上記以外のアンケート項目で気になったところは、調理の視点では「あまり小さすぎると調理しづらく買わない」が3件、食育の視点では「じゃがいもの原型を子どもに伝えながら食卓を共にできた」が3件でした。また、希望の販売価格は「1kgあたり500円」が最も多い結果となりました。
温暖な気候下で、雑草が土中の栄養を吸収することで、作物の成長が阻害され不揃いな作物体になることは自然なことです。消費者が安心して選食できる出荷規格も大事ですが、気候変動で大気や土壌の環境が著しく変化する現代において、生産者の労働環境がより過酷になってきている現実や安定した食糧供給の観点から考えても、気候変動を考慮して出荷規格を緩めることは今まさに求められていることです。しかし、市場流通の出荷規格を変えていくには、気候変動の枠組みから捉える旬の作物に対する消費者の理解の醸成に向けた食育や作物の販売業務、販売店の袋詰め作業、サプライチェーンでの梱包作業、物流ロジスティクスの最適化、販売店や流通関連業者を交えて私たちが自然を利用するバランスを大切にするために、暮らしの中で食材の理解を深めて食べることは、これからを生きるために大切かつ大事なことだと考えます。
問い合わせ先:役場 企画観光課
【電話】24-3113
