- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県肝付町
- 広報紙名 : 広報きもつき 2025年10月号
■教育長室の窓から
◇宇宙と教育
広報9⽉号の「ちょっといい話」で、地球防衛について取り上げましたが、本町には、内之浦宇宙空間観測所があり、宇宙に関⼼のある⽅々が多くいますが、これまで学校の教科の授業で宇宙について学習する機会が少なかったかと思います。
今年度、内之浦⼩学校をモデル校として、JAXA関係者と連携して「⽇々の授業から宇宙を知る」をコンセプトに、⽇常の教科の学習と宇宙を結びつける授業をスタートしました。教科の学習と宇宙を結びつけた取り組みは、全国でも稀な取り組みになります。さらに、⽂科省の授業時数特例校制度にも応募し、宇宙に関する授業を柔軟に進めています。
例えば、6年算数科の「三⾓形の相似関係、拡⼤と縮⼩」の学習では、直接測ることができない⽉までの距離を計算して知る学習を⾏います。まず、⽉にまつわる宇宙開発について学びます。次に、算数科で学習した三⾓形の相似の復習をします。そして、5円⽟で⽉までの距離が測れるかと考え計算します。最後に、相似の使い⽅がわかれば東京タワーの⾼さも測れることを知り挑戦します。
この取り組みの良さは、⽇常の学習が宇宙とつながっていること、学んだことが何の役に⽴つのかを知ること「学びの意味」を実感し⾃分で学ぶ意欲を⾼めると思います。さらに、将来⼦どもたちが就く仕事は、宇宙と関連している可能性が⾼いことが予想され、宇宙産業と全く無関係な仕事を探す⽅が難しいとも⾔われています。
⼩学⽣の時から宇宙を知る学習は、まさしく宇宙の町である本町でしかできない特⾊ある取り組みであると考えています。
■教育長のちょっといい話
◇什(じゅう)の掟
私ごとですが、⿅児島県に来てよく聞かれたのが「福島県の⽅は、まだ薩摩に遺恨がありますか」です。戊⾠戦争の際に、会津藩(現在の会津若松市)と薩摩藩、⻑州藩が中⼼の官軍が戦い、会津若松城(鶴ヶ城)攻防での悲劇がありました。今では、⻑州に対するわだかまりはありますが、薩摩に対してはそれほどではないかと思います。
さて、⿅児島県には、薩摩藩の郷中教育の基本精神となったとされる47⾸の歌である「⽇新公いろは歌」(本町でも掲げている学校があります)がありますが、福島県には、会津藩の「什の掟」というものがあります。これは、「⽇新館」(会津藩の藩校)に⼊る前の⼦弟に対して、「ならぬことは、ならぬものです」(理屈ではなく、「いけないことはいけない」)という教えを徹底したものです。この教えは、今も「会津っ⼦宣⾔」として⽣きています。
近頃、新聞やテレビの報道で、痛ましいニュースがありますが、⾃分や他⼈のたった⼀つしかない命を奪ってもいい理屈などありません。もちろん、いじめもです。「だめなこと、相⼿が嫌がることなどを、したり⾔ったりすることは、絶対にいけない」「⼈間として、してはならないことをしない」など、今の⼦どもたち、私たち⼤⼈にとっても⼤切なことかと思います。関⼼のある⽅は、会津藩の「什の掟」を紐といてみてはいかがでしょうか。
