文化 資料館だより(544号)

■もうすぐ100歳
昭和2年に作られた中種子町文化財・大平橋(たいへいばし)
納官平鍋の、山あいの静かな里に架かる「大平橋(たいへいばし)」は、昭和2年(1927年)に築かれ、間もなく100年を迎えます。アーチ型の石橋として今も美しい姿を残し、令和2年には中種子町の文化財に指定されました。
この橋は、かつて住民の生活道路として利用されてきたもので、地元の記憶と歴史を今に伝える貴重な遺産です。近年、文化庁は「守る文化財」から「活かす文化財」への転換を推進しており、文化財を地域づくりや学びの場として積極的に活用することが求められています。
そこで、大平橋の100歳を契機に、地元住民や納官小学校の子どもたちと連携した企画ができないかと考えています。例えば、大平橋の歴史を調べたり、昔の写真を集めたり、橋周辺の自然や暮らしをテーマにした絵や写真の募集など、地域みんなで文化財の魅力を再発見するような取り組みです。
このような活動を通して、子どもたちは地域の歴史に親しみ、大人たちはふるさとの価値を再認識することができます。そしてそれが、文化財の継承や、町への誇りにつながっていくと信じています。
「大平橋、100年の物語」。この節目の年を、みんなで祝い、未来につなぐきっかけにしませんか?町民の皆さまからのご意見やアイデアをお待ちしています。
文化財保護審議会委員 住岡重寛