- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県西原町
- 広報紙名 : 広報にしはら 2025年2月号 No.636
令和七年も、早くも二月になりました。昨日年を越したばかりのような気持ちでいたら、一月が過ぎてしまっています。
さて、二月といえば何が思い浮かびますか。もしかすると節分や、チョコレートを思い浮かべる人が多いのかもしれませんね。今回は、沖縄の昔ながらの二月の行事を紹介したいと思います。
製糖の村だった西原では、十一月頃からキビ倒しが始まり、製糖期間の半ばになる二月二日に、休養日を設けていました。この日は、一日飲食をして、くつろいだといいます。この行事を「クスキー」といい、各字や人によって「クスッキー」「クシユクイ」「クスキワーシ」と呼び方に差がありますが、「腰憩い」という字があてられます。字民が一同を会して行われる集落もあれば、サーターヤー組、サーター組など、製糖のための組織である組毎に集まって宴を開く集落、集落内の路地を境にした組に分かれて集まる集落など、集落それぞれでやり方があるようです。
また、「シマクサラシ」という行事もありました。二月と八月に行う集落が多く、ヒジャイナー(左縄)を張って、牛の骨を下げていました。これは、シマ(集落)にヤナカジ(悪風・流行病)が入ってこないようにする予防祈願で、ムンヌキ(物の怪)を祓う祈願でもありました。下げる場所は集落それぞれで特定の場所がありましたが、多くは集落の入り口で、隣の集落との境にあたる場所で下げていたようです。そして、この日は牛肉や豚肉を炊いて食べたということで、シシクェーヨーと呼ぶ地域もありました。今みると、不思議な風習に思うかもしれませんが、二月の寒い日に風邪予防の健康祈願をし、肉を食べて体力をつけておこうと考えることと気持ちは同じではないでしょうか。ちなみに、幸地や棚原では終戦頃まで行われていたようですが、戦後はどこの集落も催していません。
なお、紹介した二つの行事は本来旧暦の二月に行われるため、現代でいうと二月終わりから三月頃の季節感が正しいのですが…。
皆さんも、正月の疲れを癒しつつ、来る年度末の慌ただしさを前に、腰を下ろしてゆっくりご飯を食べ、健康を考える月にしてみてはいかがでしょうか。ご自愛ください。
※参考文献:『西原町史 第四巻 資料編三 西原の民俗』
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