くらし 地方のかがやき 高知県 日高村(1)

■清流・仁淀川が流れる 子育てしたい 老後も住みたい村

高知市から車でわずか30分の距離にありながら、豊かな自然に恵まれた日高村。村の北側を流れる仁淀川(によどがわ)は、その透き通った青さが“仁淀ブルー”と称され、屋形船やSUPなどのアクティビティが国内外の観光客を惹きつけています。
特産品も多く、昭和60年には村をあげて高糖度のブランドトマト「シュガートマト」開発に成功。平成26年には、地元産トマトを使った村おこし事業「オムライス街道」を始めるなど、“トマト村“として知名度を高めてきました。他にも、中四国地域最大級の茶園で栽培される霧山茶や国内シェア50%を誇る芋けんぴ、文化財の修復にも活用される世界一薄い和紙などがあります。
一方で、300年を超える村の歴史は、水との戦いの歴史でした。度重なる台風や豪雨に見舞われ、そのたびに対策工事を行ってきました。現在は放水路建設に加え、流域全体での安全性を高める「流域治水」にも取り組み、水害に強い村づくりを進めています。

◇水のまち
仁淀川は、国土交通省による全国一級河川の水質ランキングで、計8回日本一に選ばれた(平成24年~平成28年、令和元年~令和3年)。仁淀ブルーを間近に見ながら約50分の船旅が楽しめる「屋形船仁淀川」も人気。

◇トマトのまち
日高村名産のシュガートマトは、平均糖度8以上の甘さが魅力。JA高知県日高支所が導入した日本初の光センサーにより1つ1つ測定し、基準をクリアしたトマトだけが名乗ることができる。現在、約20戸の農家が栽培している。

◇オムライスのまち
「日高村オムライス街道」には、国道33号沿いを中心に11か所の飲食店が参加。それぞれの店舗が日高村産のトマトや地場の野菜を使った創作オムライスを提供し、様々なイベントも随時開催している。

◇村の駅ひだか
地元産の朝採れ野菜や果物、加工品が揃い、収穫期にはシュガートマトも並ぶ。オムライスやカツピラフなどを提供する飲食店も併設。

◇名越屋沈下橋(なごやちんかばし)
仁淀川の最下流に架かる全長 191m の橋は、絶景のフォトスポット。橋ごと水中に沈むことで流木などが橋の上を流れやすくなり、橋自体が壊れにくい。

◇霧山茶
仁淀川の近く、標高230mの錦山に広がる「霧山茶園」で栽培している土佐茶は、香り豊かでまろやかな味わい。焙煎や茶筒作りなどの体験もできる(要予約)。

◇日高酒蔵ホール
明治時代に建てられた「旧松岡酒造」の建物を改修したホール。夏祭りや収穫祭などのイベントや、アーティストによるコンサートなどに活用されている。

◇猿田洞(さるたどう)
土佐のねずみ小僧とも例えられる義賊的な忍者・日下茂平(くさかもへい)が修行したとの伝説が残る石灰石の洞窟。全長1,420mのうち、150mが探検用に整備されており、這ったり登ったりとスリル満点の洞窟探検が楽しめる。

◇小村神社・秋の大祭
土佐国二宮として位置付けられた小村神社で、毎年11月15日に開催される。国宝の「金銅荘環頭大刀」を拝観できるのはこの日だけ。

◇国宝「金銅荘環頭大刀・拵大刀身(こんどうそうかんとうのたちこしらえ・たちみ」
小村神社の御神体。製作年代は古墳時代末期の7世紀前半と推測され、太刀としては日本最古の伝世品といわれる。昭和33年、国宝に指定。

◇インフラツーリズム
和6年に完成した3本目の放水路「新日下川放水路」が新たな観光資源に。トンネル内を徒歩で見学したり、カヌーでのんびり進んだりと、多彩なプランを計画中。

※写真は本紙をご覧ください。

◎Hidaka-Village Profile
高知県の中部に位置する日高村。北側に仁淀川が流れ、村の中央を東西にJR線と国道33号が並行して走っている。主な産業は農業。村名は「日本」と「高知県」から1文字ずつ取ったことに由来する。

人口:4,709人(令和7年1月末現在)
面積:44.85平方キロメートル
【URL】https://www.vill.hidaka.kochi.jp/

■笑顔あふれる安全安心な村づくりを目指して

高知市中心部から西へ16kmにあり、清流仁淀川と豊かな自然に恵まれ国宝の大刀を有する本村は、特産のトマトを使ったオムライス街道やスマホ普及率100%を目指すデジタル化の取組、関係人口を創出し移住につなげる取組などで村の良さを生かし、新しい時代に応じた村づくりを進めるとともに、災害に強い村づくりに取り組んでいます。

日高村長 松岡一宏(まつおかかつひろ)