くらし 《特集》ビッグデータ・トライアル―新たなデータソースの利活用への挑戦―(1)

総務省が中心となって各府省とともに取り組んでいる「ビッグデータ・トライアル」とその取組を支える「ビッグデータ・ポータル」についてご紹介します。

■ビッグデータ・トライアルとは?

◇「ビッグデータ・トライアル」とは、どのような取組ですか?

「ビッグデータ・トライアル」とは、一言で言うと、ビッグデータを活用した試行的な取組のことです。総務省では、主に国や地方公共団体に対して、ビッグデータの活用可能性を発信することで、それぞれの機関において、より良い統計の作成や、政策立案の改善等に役立てていただくための取組を進めています。

◇そもそも、「ビッグデータ」とはどのようなものなのでしょうか? 聞いたことはあるのですが…

ビッグデータとは、一般的に、量、速度、多様性の特徴を持つものとされることが多いです。
具体的には、主に GPS やスマートフォンの基地局から取得される人流データ、お店のレジを介して取引情報が取得される POS データ、各種 SNS におけるユーザーの投稿・発信等を集約化した SNS データなどがあります。
これらのビッグデータからは、様々なことを分析することができます。例えば、人流データからは、いつどこにどれくらいの人がいるかを把握することができますし、POS データからは、商品の価格の変動等を把握することができます。

ビッグデータには、国や地方公共団体などが持っている情報を含むこともありますが、「ビッグデータ・トライアル」は、主に民間企業等が持っているデータを利活用していく取組と捉えていただければと思います。

●主なビッグデータ

◇様々なビッグデータがあるのですね!
統計にビッグデータを活用することで、どのような効果やメリットがあるのですか?

例えば、統計調査では、回答を回収した後にとりまとめ・集計が必要なので結果の公表までに時間がかかることもありますが、ビッグデータを活用することでとりまとめの手間が減り、統計作成や結果の公表を早くできる可能性があります。ほかにも、これまで統計調査の対象者に回答してもらっていた項目の一部を、ビッグデータを活用することで補える可能性や、統計調査では得られなかったデータを取得することで、これまで把握できなかった実態を把握できるようになる可能性もあります。
一方で、ビッグデータは統計を作成することを目的に集められたものではないということに注意が必要です。例えば、スマートフォンの基地局データは、その携帯電話キャリアの利用者だけの情報であるなど偏りがある場合があります。また、データを持っている企業がデータの収集や提供ができなくなる可能性があることなどに気を付けなければなりません。

◇すでに、国や地方公共団体等でビッグデータが利活用されている事例はあるのですか?

様々な事例がありますが、例えば、総務省が作成している「消費者物価指数(CPI)」の一部品目で、POS データの活用や、ウェブスクレイピング技術を活用したウェブサイトからの大量の自動的な価格収集を実施しています。

●各事例の概要はこちら(この後ご紹介するビッグデータ・ポータルに掲載しています。)
・消費者物価指数(CPI)における POS データ及びウェブスクレイピングの活用[総務省]
【URL】https://www.e-stat.go.jp/bigdataportal/case/120

・月例経済報告におけるPOSデータ、求人広告データの活用[内閣府]
【URL】https://www.e-stat.go.jp/bigdataportal/case/301