健康 健康〔健康コラム〕

■5歳児健診
・富良野医師会 角谷(かくや) 不二雄さん

5歳前後は、幼稚園や保育園などの集団生活の中で、友達とルールを守った遊びを経験し、社会性が大きく育まれる大切な時期です。同時に、言葉の使い方や人との関わり方といった成長の様子がはっきり見えてくる時期でもあります。そのため、この時期の健診は、小学校入学に向けた準備の確認にとても役立つとされています。
母子保健法により1歳半・3歳児健診は義務化されています。しかし、5歳児健診は任意であり、2022年度の実施率が全国で14.1%にとどまっていました。多くの子どもは3歳児健診から就学時健診まで約3年の空白期間があり、その間の発達の問題が見逃されがちだったのです。そして、就学時健診で初めて発達の問題が判明しても、学校の支援体制や進路準備が間に合わないケースが課題となっていました。
こうした状況を改善するため、国は2028年度までに全国どこでも5歳児健診を受けられるよう準備を進めています。この健診では、子どもの心身や行動面の発達を評価し、特性を早期に把握することで、必要に応じて保護者・学校・医療機関が協力しながらのサポートにつなげることができます。課題が見つかっても入学までに時間があるため、慌てず準備を進められることも大きな利点です。実際に5歳時健診を導入した自治体では不登校の減少につながったという報告もあります。
富良野市でも、この10月から5歳児健診を始める準備を進めています。心と体の発達や生活習慣、社会性などを、富良野市および富良野協会病院派遣の多職種で幅広く確認します。そして、必要に応じて医療や福祉、教育の専門機関と連携して支援します。この健診を通じて、子どもたちがより健やかに社会に適応し、保護者の皆さまがより安心して子育てに向き合えるよう、応援できればと考えております。