くらし [特集]令和7年度 まちの仕事の方針(2)

◆町政執行方針(続き)
このことは、人口の増加や観光関連施設の立地、農業基盤の整備、企業誘致による雇用環境の拡充など、町民のみなさん、町議会議員各位、ならびに事業者のみなさんのご尽力によるものと厚く感謝を申し上げる次第です。
本町では、昨年の大雨による小規模な災害などはありましたが、甚大な災害もなく、国営農地再編整備事業をはじめとする諸事業を着実に進めることができました。また、環境面では、昨年5月に申請した「豪雪寒冷地域での脱炭素モデル普及促進による重点対策加速化事業」が環境省により採択されるなど、本町のカーボンフリー社会移行への大きな弾みとなっています。
本年度予算の編成にあたっては、国の地方財政計画との整合性を図るとともに、現石破政権が掲げる「地方創生2・0」という地方重視予算配分の方針に則り、地方創生等関連補助金を最大限活用することとしています。
さらに、本町においては、大変重要な過疎法が、令和3(2021)年に「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」として、議員立法で新たにスタートしました。幸い本町においては、町議会議員各位や関係者の多大なる要請活動と、総務省をはじめとする国関係者のご理解をいただいたいたおかげで、新過疎法の適用自治体となることができましたが、次回の法改正においては、人口が増加している本町の特性から、適用除外となることが明らかとなっています。過疎法の地域指定に基づく過疎債は、元金と利子の償還金の7割を交付税算入されるもので、言い換えると過疎債は、年次償還の補助金としての性格を持つもので、この過疎地域指定の適用がなされない場合は、ほとんどの建設事業や投資的事業が不可能になることが想定されています。また併せて、本町のまちづくりに不可欠で毎年活用している「過疎ソフト事業」の枠も無くなることとなります。ほとんどの新たな事務事業はできなくなるとの覚悟を持つ必要があり、現過疎法が終了する令和12(2030)年度までの間に、次世代に残すべき生活基盤を整備あるいは再整備しておくことが、未来の世代に対する大きな責務であるものと考えています。本予算においては、将来必要な事業のため、有利な起債枠の将来に向けた確保との自治体経営の視点もあることをご理解いただきたくお願いします。
予算編成における基本的な理念としては、(1)「経済合理性優先の社会」から人々の尊厳を大切にする「共感資本社会」づくりへの転換、(2)拡大し続けている暮らしにおける格差の是正、(3)「地球環境負荷の低減」と「気候変動対策」の従前の3つの課題に加え、本年は、小中学校給食費の無償化の試行や子育て環境、教育環境の拡充に努めること、命と暮らしを支える水道基盤の整備促進、国民健康保険会計における子育て世帯への負担軽減などに重点を置き、予算編成を行っています。
新年度においても、住宅不足や交通の利便向上への対策とともに、有島武郎の遺訓「相互扶助」の理念が息づく町として、子どもから今日の社会を築いてこられたご高齢のみなさんまで、安心して暮らすことのできるまちづくりに努めてまいります。
また、これまで進めてきた企業の誘致につきましては、本町のまちづくりに共感し、本町がこれまで理念としてきた「小さな世界都市ニセコ」、「環境創造都市ニセコ」、そして現在の「こども未来共創都市ニセコ」の理念に沿い、ともに本町のまちづくりに参加する「良質な企業」であることを前提に誘致活動を継続してまいります。
なお、これまで国に対して行ってきた「所有者不明土地」については、その土地の所有権を希望する自治体に移管する法制度の確立、デジタルノマド・ビザにおいては「ビザの適用期間」の延長、水道耐震化改修等水道施設への補助交付金の抜本的な拡充、そして、本年から新たに「計量法の改正」について、要請活動を強化していきたいと考えています。