- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道ニセコ町
- 広報紙名 : 広報ニセコ 令和7年4月号
◆町政執行方針(続き)
◇I 予算執行の基本的考え方
令和6(2024)年度は、新型コロナウイルスの感染流行が治まり、経済活動も回復基調で観光入込数も増加しつつありました。しかし一方で、事業活動や経済活動が活発化したことにより、人手不足が深刻化しています。加えて、国際情勢の変化や円安などの要因により、資材などの高騰が続き、町民の暮らしにも大きな影響が出ています。この人手不足や資材高騰により、町の事業も大きな影響を受けているところですが、町民のみなさんの暮らしの支援などの物価高騰対策については、国の諸政策と連携し、随時対策を講じていく所存です。
本町の暮らしを支える「持続する社会基盤の整備」に向けては、『ニセコ町まちづくり基本条例』が掲げる「自治の実践」という理念をもとに、これまで培ってきた「多様なまちづくりの主体」を基軸に、住民のみなさんが「自ら考え行動する」「住民自治」のまちづくりに向けての取り組みについて、不断の努力を重ねていきたいと考えています。
また、町の持続発展に資する諸施策の推進に努め、「第6次総合計画」、「自治創生総合戦略」、「SDGs未来都市計画」、「環境モデル都市アクションプラン」などの諸計画を着実に実施していきます。
予算編成の基本的な方針として、予算規模の大きい投資的事業については、投資的事業の緊急性、財政負担の優位性などを勘案し、
(1)着手継続事業の確実な推進と完了
(2)将来の持続可能な発展に向けた整備
(3)安心安全を支える社会基盤の整備
(4)子育て・教育施設の整備
(5)暮らしやすさの向上
を中心に、起債計画や財政の状況を踏まえつつ、長期的視点に立って、重点的かつ計画的に事務事業を実施していくことを念頭に、事業に優先順位を付けて予算編成を行っています。
予算規模の大きな事業として、一般会計では、消防庁舎再整備事業、新団地整備事業、ニセコ高校寄宿舎整備事業、ニセコミライ基盤整備事業、国営緊急農地再編整備事業、公営企業会計では、水道施設拡張整備(市街地区浄水場整備、市街地区配水管布設など)、下水道管理センター設備更新事業などが挙げられます。
このほか拡充する事業として、有害鳥獣対策、観光DX・シェアリングサービス推進事業、妊産婦健診事業、産後ケア事業、商工業の振興、新たに公共施設太陽光発電設備設置事業、教育備品の整備、地域交通事業、小中学校給食費の無償化の試行などを実施します。
このほか、主要政策の各般において、町の将来のあり方を見据えた予算執行に努め、財政の健全性を確保しつつ、積極的な予算配分により、地域の活性化と持続性が図られるよう配意しています。
◇II 重点政策の展開
1 持続する地域経済の確立
本町の豊かな自然環境を生かした内発的産業の育成に努め、農業、観光業、商工業の連携や地域に賦存するエネルギーの利活用、経済の域内循環を推進します。また、まちづくりの理念を共有し、共感できる企業、大学、研究機関などとの多様な連携により、地域経済の自立に向けた取り組みを進めます。
観光振興では、「町観光振興ビジョン」に基づき、観光のSDGsと言われるGSTC(持続可能な観光地域づくり)の取り組み、国連世界観光機関(UNWTO)のベストツーリズムビレッジなどとの連携を進めていきます。
また、「町中小企業等振興条例」に基づく商工業の振興を町商工会と連携し進めていきます。
(1)農業と畜産業の振興
不安定な国際情勢により原油、飼料、肥料、資材の高騰などに加え、国内の気候変動、自然災害などが頻発し、農業者にとっての経営環境は一段と厳しさを増しています。このような状況から、国は、食料・農業・農村基本法の改正により、食料安全保障に対する取り組みを進めるとともに、環境政策を軸とした農業への転換を求めています。
本町では、「循環型クリーン農業」の取り組みを継続し、農業者には、土づくりを基礎とした農業の確立へ向けた取り組みや、経営リスクを分散できるように計画的な営農を進めてもらうため、関係機関と協力しながら、本町に適した農業生産の確立に努めていきます。
また、本町がリゾート地を有する特性を生かし、多品目生産や多様な販路の拡充に配意し、本町の農業の持続発展を図るとともに、農業人材の確保に努めていきます。
農業基盤の整備については、国営緊急農地再編整備事業の令和9(2027)年度の事業完了を目指すとともに、引き続き、優良農地の保全と農地の利用集積を進めていきます。また、イエスクリーン米栽培支援制度の継続とともに、完熟堆肥助成、緑肥作物の奨励などの土づくり対策、6次産業化、新たな作物や栽培技術の導入支援などを引き続き支援するとともに、本年から酒造好適米への支援を拡充します。
また、有害鳥獣被害が拡大の一途をたどっていることから、これら対策の拡充を図ります。