くらし [特集]令和7年度 まちの仕事の方針(6)

◆町政執行方針(続き)
◇II 重点政策の展開
3 環境に優しいニセコの創造
本町の美しい自然環境を大切にし、自然に調和した暮らしを維持するため、町環境基本計画、町地球温暖化対策実行計画などに基づき、「水環境のまちニセコ」の実現に向けた取り組みを進めます。
本町の主産業である農業や観光も、水環境をはじめとする環境の良さによって成り立ち、より信頼を高めていくものであると考えています。ゼロカーボン宣言をして、世界首長誓約日本にも署名し、「コンプライアントバッチ」を取得している自治体として、「気候変動対策」と「地球環境負荷の低減」を目指すとともに、併せて「地域経済循環型社会形成」との両立に努めていきます。
また、2年の歳月をかけて平成14(2002)年3月に策定した第1次町環境基本計画の策定にあたっては、日本経済や町を取り巻く経済も大変厳しいときでしたが、「町を乱開発させないこと、投資による資本の草刈り場にはしないようにすること、町の美しい環境と優れた環境を未来の子ども達に残そう」との町民のみなさんの強い決意のもと、この目標タイトルが「水環境のまちニセコ」、そして、サブタイトルが「良い環境を子どもたちに残したい」となったものです。「水環境」としたのは、水が私たちの命を育むものであり、森や川、生態系を育む根源であること。弱者である新生児やご高齢のみなさんも、良質な水とともに暮らせる町であり続けられること、との議論の総まとめとして決まったものです。
ニセコ町まちづくり基本条例に続いて、この「環境基本計画」の理念に基づき、「町環境基本条例」や、あえて数値規制を入れない住民参加を主体とした「景観条例」が制度設計されていったことをこの執行方針の中で共有し、再確認させていただければありがたく存じます。

(1)自然環境の保全と環境対策
ニセコアンヌプリ山麓周辺をはじめとする地域では、いくつかの開発が計画されており、これらの開発とニセコの美しい自然や風景との調和が重要です。本町の貴重な財産を守り育てるため、国定公園法や準都市計画、景観条例、建築ガイドライン、地下水保全条例などの制度を運用し、「秩序ある開発」への誘導を図っていきます。
廃棄物処理対策では、羊蹄山麓7町村が連携し、可燃ごみの固形燃料化処理を倶知安町の民間事業者に業務委託しています。昨年度は、観光客の入込数が回復し、それに伴ってごみの量が増加しています。町では、引き続き分別排出の周知をこまめに行うとともに、資源回収を目指した使用済小型家電の収集を実施します。事業系ごみ処理に関しては、ごみ処理料金の見直しや処理体制、方式などについての情報収集と検討を開始します。
し尿処理については、羊蹄山麓環境衛生組合羊蹄衛生センターにおいて処理をしていますが、現在の施設は築50年が過ぎ、施設の損傷が激しいことから、新施設の稼働を目指して検討を進めてきました。しかし、昨年新たに提示された全体費用の額が2・5倍と高額提示となっていることから、再度見直し、検討を進めることとしています。こうしたことから、本町としても環境に配意した最先端の処理方式などの情報収集に努めていきます。

(2)自立型省資源社会への転換
町では、「環境モデル都市」、「SDGs未来都市」の指定を受け、環境負荷の低減と地域の活性化の両立を目指し、将来にわたり持続可能な暮らしやまちづくりに向けた取り組みを進めてきました。(1)平成30(2018)年には、「世界首長誓約日本」に署名し、(2)令和2(2020)年には、「気候非常事態宣言」を発し、(3)令和3(2021)年には、「再生可能エネルギー事業の適正な促進に関する条例」と「自転車の適切な利用を促進する条例」の制定、(4)令和6(2024)年は、「気候変動対策推進条例」を制定しています。
令和7(2025)年度は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標に向けて、町有施設における再生可能エネルギーの効果的な活用を行うため、太陽光発電設備の導入事業を進めます。なお、市街地区での再生可能エネルギーの利用の可能性を図るため、本年、経済産業省の認定を受けた場合は、市街地区における地熱、地中熱利用の可能性調査、設計を実施(補助10/10)したいと考えています。

(3)「株式会社ニセコまち」との連携
平成30(2018)年に、内閣府からSDGs未来都市として選定され、その中核事業であるNISEKO生活・モデル地区「ニセコミライ」の取り組みを進めています。これまでに、超省エネや高性能の木造集合住宅として、分譲住宅2棟13戸、賃貸住宅1棟10戸が完成し、本年度は、分譲住宅2棟15戸、賃貸住宅1棟10戸の建築工事が行われる予定です。光熱費を抑え、除雪や管理の負担が少なく、健康で暮らしやすい快適な生活環境の実現に向けた株式会社ニセコまちの取り組みを支援していきます。また、環境を基軸とした多様な連携を促進し、脱炭素や地域活性化の推進を図り、持続可能なまちづくりを株式会社ニセコまちとともに進めます。

(4)林業の振興
森林は、町の基盤である自然環境や景観を構成する大切な地域資源であり、町民のみなさんの暮らしに豊かさをもたらしてくれる存在です。美しい景観を維持し、未来につないでいくためにも、計画的に整備することが必要であり、木材に付加価値を付けて経済を循環させ、地域ぐるみで森林づくりに取り組む必要があります。
これらの取り組みを着実に進めるため、「株式会社ニセコ雪森考舎」を支援し、町の豊かな自然環境を町民が享受できるよう、森林資源の活用や人材育成、木育の取り組みに努めていきます。また、ニセコ町森林整備計画やそのほかの施策と調整を図り、森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう、林業振興の取り組みを進めます。加えて、国や北海道、町独自の補助制度を活用した民有林整備の促進と、町有林での着実な整備など、適正な管理に努めます。