- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道東神楽町
- 広報紙名 : 広報東神楽 2025年4月号(第727号)
◆小説は私の人生 小さな一歩が 夢を叶える
[プロフィール]
ちゅるぎ さん
1987年生まれ 37歳
小説家
「まさか自分の作品が書籍になるとは思っていませんでした。実感が湧かず、何度も書店に足を運び確認しました」そう語るのは、日本最大級の小説賞「第12回ネット小説大賞」で2万826作品の中から入賞し、2月21日に第1巻が出版されたちゅるぎさん。彼女の作品『アルケミスト・アカデミー』は、インターネットで多くの読者に支持され、ついに紙の本となりました。
東神楽町出身のちゅるぎさんは、高校卒業後、道内の大学で管理栄養士の資格を取得。卒業後は旭川市内の介護施設で管理栄養士として働く傍ら、小説を書き続けていました。
「大学時代も、仕事をしながらも執筆を続けていました。『アルケミスト・アカデミー』は、10年以上かけて育てた作品です」と感慨深く語ります。
「最初に小説を書いたのは、小学6年生のときでした」。当初は漫画家を目指していましたが、コマ割りの難しさから小説という表現にたどり着きました。「小説を書いている時間は、物語の世界に没頭できるので、気持ちをリフレッシュできます」と笑顔を見せます。
執筆は図書館やカフェなどさまざまな場所や家事の合間に少しずつ書き進めるのが習慣だそうです。「夫が趣味に理解があり、本の出版にも賛成してくれたことに感謝しています」。
ウェブ投稿を始めたのは2011年頃。「当時のパソコンの調子が悪く、データの保存が目的でした」。しかし、投稿を続けるうちに読者からコメントが届くようになり、「感想をもらうことで、書くことがより楽しくなりました」と振り返ります。
本作には、ちゅるぎさんの経験や価値観が色濃く反映されています。農業や介護の経験や知識を物語に取り入れ、リアリティのある世界観を作りました。「主人公が材料を集め、試行錯誤しながら薬を作る場面には、実家の農業で学んだ植物の知識を生かしています」。生まれ育った東神楽町の風景や、助け合いの精神も創作のインスピレーションになっています。「物語の村の雰囲気は、幼い頃から見てきた東神楽の風景を参考にしています」。これまでの経験から生まれる豊かな表現が、読者の物語への没入感を深め、心に響くのかもしれません。
現在は続編の執筆にも取り組んでおり、「『アルケミスト・アカデミー』の2巻目、3巻目を紙の本として出版することが目標です」と語ります。
「どんなに小さな一歩でも、あきらめずに前へ進むことで、必ず新しい物語が生まれると信じています。私の本が、読者の皆さんの心に小さな勇気や希望を届けられたらうれしいです」と、力強く話しました。