くらし 地域おこし協力隊通信vol.19

地域おこし協力隊の堀井です。昨年4月に着任してから、早くも一年余りが経ちました。
協力隊としての主な活動は、さけ孵化場での業務です。秋に島外から運ばれてきたサケの卵を孵化させ、春の放流まで育てるという仕事に携わっています。
当然ながら当初はすべてが初めての経験で、業務の内容すら想像がつかない状態からのスタートでした。しかし、場長の澤目大輔さん、今年3月まで協力隊として活動されていた鈴木太郎さんをはじめ、先輩方の丁寧なご指導のおかげで今では孵化場の一員として気持ちよく業務に取り組めています。
秋口の卵の受け入れ準備から始まり、卵の輸送と収容。その後は卵の管理を続けながら、冬に入れば毎朝の雪かきが、孵化した稚魚たちが泳ぎだす頃には餌やりと池の清掃が日課となっていきます。
地道な作業の連続ですが、そうした日々の中で稚魚たちが目に見えて成長していく様子を見られるのは、不思議な手応えを感じられる時間でした。
さけの孵化・放流は秋から春にかけての事業のため、夏場は観光施設での草刈り作業にも従事しています。
ペシ岬、夕日ヶ丘、富士野園地、沼浦の展望台にキャンプ場など、美しい景色と心地よい風の中での作業は業務の一環ながら自然と触れ合える心地よい時間でした。作業中には観光客の方々から声をかけられることも多く、質問や写真撮影のお願いを受けるなど、人との交流も楽しませていただきました。
また前職が塗装業だったこともあり、各地の看板や標柱の塗装作業も担当させていただきました。背の高い草に半ば埋もれながら原生花園の看板を塗っている姿がよほど不審に見えたのでしょうか、不意に駐在さんから何をしているのかと声をかけられたのも、今では良い思い出です。
昨年9月には大型免許を取得する機会もいただきました。これは孵化場での卵の輸送業務のためですが、今後はそれ以外の場面でも地域のお役に立てればと考えています。
今年の孵化場業務もこの5月で終了します。すべての稚魚を放流し、池をひとつひとつ洗浄していく作業は達成感もあり少しの寂しさもあり‥‥生き物の命を扱う責任とやりがいをあらためて実感し、貴重な経験をさせていただいていることに感謝しています。
そして利尻で迎える二度目の夏。今後の活動も観光施設の草刈りや整備、そして秋からの孵化場業務と、昨年からの流れを引き継いだものが中心となります。協力隊としての自発的な情報発信はまだまだ課題ですが、地に足をつけ、少しずつでも地域に貢献できるよう努めていきます。