くらし 「幌延町における深地層研究に関する協定書」の履行状況について

~研究が三者協定に則り進められていることを確認~

町は、今年度、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)から提出のあった『幌延深地層研究計画令和7年度調査研究計画』および『幌延深地層研究計画令和6年度調査研究成果報告』について、「幌延町における深地層の研究に関する協定書(以下「三者協定」という。)」
第14条に基づき設置する「幌延深地層研究の確認会議(以下「確認会議」という。)」による内容確認結果を踏まえ、三者協定に則り幌延深地層研究計画が進められていることについて確認し、その旨を原子力機構へ文書により通知しました。
幌延深地層研究計画の内容確認に当たっては、令和7年4月23日から令和7年8月21日まで、3回にわたり確認会議を開催し、「令和7年度調査研究計画」等に関し、構成員である北海道、幌延町および専門有識者からの質問のほか、道民から寄せられた質問等に対して、原子力機構から回答の説明を受ける形で確認を行いました。確認した事項の概要については、次のとおりです。

■確認会議で確認できた主な内容
1.研究成果及び研究計画について
▽令和6年度の研究成果及び令和7年度研究計画について
・令和6年度調査研究計画書のとおり3つの必須の課題について研究を行い成果を得ており、令和7年度の研究についても計画どおり開始し、遅れや新たな課題は生じていないこと。
・令和6年度までに所期の目標を達成した項目について、今後は、これまでに構築してきた技術を「坑道スケール~ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化」で適用し、体系的な手法として提示していく中で、情報の不足などがあった場合に追加で試験や解析を実施することとしているが、令和7年度においては、追加で試験や解析を実施する課題はないこと。

▽深度500mまでの掘削について
・東立坑と換気立坑について令和6年度に深度500mに到達したことに加えて、西立坑についても令和7年5月に深度500mに到達したこと。また、500m調査坑道について、計画どおりに進捗しており、令和7年度末までに施設整備を完了する予定であること。
・坑道掘削における安全対策として、安全に関するルールや事故発生時の対応等に関する安全教育の実施に加え、過去の事故事例について現場で共有していること。
また、事故発生時の対応として、事故対応訓練を実施していること。
・西立坑については、先行した東・換気立坑と比較して掘削中における湧水量も少なく、当初の湧水抑制対策で十分対応できていること。また、500m調査坑道についても、湧水量は少なく、湧水抑制対策は必要のない状況であること。

▽研究の評価項目などについて
・評価項目や評価方法、調査結果に基づく結論の合理性については、国際的な議論や標準的手法に照らしても、不合理な調査・不十分な調査とならないよう、国際的な整合性や信頼性を十分に意識して進めており、地層処分の信頼性や安全性をさらに高めるため、引き続き国際的な議論や標準に沿って研究開発を進めていくこと。

2.幌延国際共同プロジェクトについて
▽令和6年度の実施状況について
・令和6年度の幌延国際共同プロジェクト(以下「共同プロジェクト」という。)では、原位置試験、室内試験や解析の実施計画を検討したほか、合同タスク会合を現地で開催し、坑道の整備状況や試験の準備状況について確認するとともに、現地会合を実施し、現場を確認しながら今後の試験計画や成果取りまとめについて議論したこと。

▽令和7年度の実施内容について
・令和7年度以降は、フェーズ2として、フェーズ1(令和4年度後半~令和6年度末)で設定した3つのタスクに関する研究開発を継続的に実施すること。
・フェーズ1(令和4年度後半~令和6年度末)の各タスクの成果として、250m調査坑道周辺の声問層(こえといそう)における物質移行特性の理解と解析モデルの構築(タスクA)や、500m調査坑道掘削時の湧水量や掘削損傷領域の広がりに関する予測解析(タスクB)を実施し、その成果を報告書として取りまとめ、国際共同プロジェクトの協力を得ているOECD/NEAのホームページでの公開を今後予定していることに加え、幌延深地層研究センターのホームページにおいてもリンクを貼る形での公開を検討していること。また、より幅広い周知を行うため、令和6年度研究成果報告書に成果概要を記載したこと。

▽共同プロジェクトについて
・今後の共同プロジェクトについても、引き続き、現在の協定書に記載されている、放射性廃棄物を持ち込まない、NUMOに研究所を貸与しないといった全ての条項は変更されないこと。
・共同プロジェクトの参加機関のうち、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO、オーストラリア)および工業技術研究院(ITRI、台湾)がフェーズ1をもって脱退したこと。フェーズ2では、新たにオーストラリア放射性廃棄物機関(ARWA、オーストラリア)の参加について、管理委員会で全会一致で承認され、6月にARWAが共同プロジェクトの協定書に署名し、手続きが完了したこと。

3.情報公開・情報発信・理解促進について
・研究計画書や成果報告書で使用される固有名詞(声問層(こえといそう)など)をはじめ、専門的な内容や用語、図表等については、分かりやすく、より丁寧に説明していくことが重要であり、説明方法については継続して検討する必要があること。
・研究成果がどのような形で活用されているのかが理解できるよう、フローや表の形式で、できるだけ分かりやすく取りまとめていくこと。
・研究内容に関し、研究期間内に得られる研究成果を基にした数万年単位の超長期的な実現象の予測への対応など、道民から質問等が多く寄せられている事項や懸念等については、引き続き、丁寧な説明を行う必要があること。
・地下施設整備完了後の地下施設見学会の運用については、令和8年度以降に予定されている、各深度の坑道における大規模な調査研究のスケジュール等を踏まえつつ検討することとしているが、今年度以上に見学機会を増やす方向で検討を進めていること。