くらし 〔特集〕せんまやひなまつりの歩き方~一関の春はせんまやからやってくる(1)

少しずつ日が長くなり、寒さの中にも春の気配を感じる頃。華やかでかわいらしいおひなさまが、春を連れてやってきました。
2月11日から桃の節句の3月3日まで、千厩の商店街などを会場に開かれている「せんまやひなまつり」。伝統的なひな人形や手作りのつるし飾りが、大正ロマン漂うメイン会場の千厩酒のくら交流施設や、商店街などに展示されています。期間中は本イベント参加店を巡るスタンプラリーが行われているほか、飲食店11店がひなまつりにちなんだ特別メニューを提供。週末を中心に展開される関連イベントもにぎわいを見せています。
千厩はかつて気仙沼街道の宿場町として栄え、多くの文化が交流する場所でした。造り酒屋や商家などが立ち並び、格式あるひな人形が受け継がれてきた歴史があります。こうした背景を生かし、地元有志と商店街が平成20年にひなまつりを初開催。当初はわずかだった協力店舗などは年々増加し、今では48カ所となりました。知名度が上がるにつれて来場者数も増え、昨年は過去最高となる2万5千人以上を記録。本市にとって、この時季の貴重な観光資源となっています。
人口減少、少子高齢化が急速に進み、中止や縮小を余儀なくされる地域行事が多い昨今。そんな中、せんまやひなまつりは日本の伝統行事に現代的な要素を融合し、今後さらに進化する可能性を秘めています。せんまやひなまつりを通じ、地域の活性化、商店街ににぎわいを生み出すヒントを探ります。

■どう歩く?せんまやひなまつり
ひな飾りを見て回り、同時開催イベントをのぞいて、商店街をぶらぶら。まだまだ知らない千厩の魅力を見つけに出かけませんか。本号2ページのオコシゴト日誌を担当した市地域おこし協力隊の遠藤桜さんに、せんまやひなまつりの楽しみ方を聞きました。

●せんまやひなまつりMAP
主な会場の基本情報と人気の関連イベントを紹介します。
※詳しくは本紙をご覧ください。

○第1会場 千厩酒のくら交流施設
明治から大正期の趣ある建物群。主屋ではさまざまな時代のひな人形が展示されているほか、地域交流展として千厩地域以外の団体が作った手芸作品などが飾られ、そのボリュームに圧倒されます。東蔵に展示されたジャンボひな壇も必見。
時間:10時~16時
費用:300円(中学生以下無料)

○第2会場 旧ナガサワ時計店
一関商工会議所女性会千厩支部のメンバーらが、布で作ったつるし飾りやえとの人形、キルト作品などを展示しています。つるし飾りはもともと、こどもの幸せを祈って手作りされたもの。生地やモチーフを眺めるだけで幸せな気持ちになれます。
時間:10時~16時
費用:無料

○イベント せんまやシャトル馬車
名馬の産地といわれた千厩らしいイベントとして、JR千厩駅とまちの駅新町JaJa馬プラザを往復する無料のシャトル馬車が運行されています。商店街をパカパカと馬車で巡る非日常の体験が大人気。
3月の運行日:3月2日(日)10時~15時30分(最終14時20分まちの駅発)
*中止・変更の場合あり

問合せ:市観光協会千厩
【電話】53-3963

○イベント 松澤神社三十三段雛
前々回から始まった屋外イベント。神社の参道の石段、今回からは拝殿にもひな人形が展示され、壮観な眺めが来場者を引き付けています。写真映えスポットとしても注目です。
3月の開催日:3月2日(日)10時~16時
*中止・変更の場合あり

問合せ:松澤神社
【電話】52-2129

●「いろんな発見があるので、ゆっくり見に来てほしい」
昨年2月の着任早々、せんまやひなまつりの現場で地域おこし協力隊の活動を開始した遠藤さん。「千厩で育ったのにひなまつりのことをよく知らなかった。Uターンして飛び込んでみたら圧巻で、千厩、元気じゃん!と思いました」と振り返ります。会場案内などを手伝う中で「毎年まつりを楽しみに遠方から来てくれる人がたくさんいることに気が付きました」と人気を実感し、本年はもっと多くの人に魅力を伝えようと奮闘しています。
お勧めの楽しみ方は、メイン会場だけでなく、スタンプラリーをしながら商店街を散策すること。「お店の人たちとの交流は楽しい」と笑顔を見せます。撮影スポットになっている松澤神社や「馬はかわいいし、歩き疲れたときにも助かる」というシャトル馬車も一押しです。
「展示しているもの全体を眺めるのもきれいですが、手作りの飾りを近くで見ると細やかな手仕事に感動します。ひな人形もよく見るとみんな顔が違って面白いので、ぜひゆっくり見に来てほしい。まつりをきっかけに、千厩と千厩の人たちを知ってもらえたらうれしいです」と、たくさんの人との出会いを楽しみにしています。

問合せ:千厩ひなまつり実行委員会(一関商工会議所千厩支所内)
【電話】53-2735