- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県仙台市
- 広報紙名 : 仙台市政だより 2025年4月号
東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。
◆何度も振り返り、伝えていく言葉
漫画家 井上 きみどり
◇「あの時、子どもだった私たちから伝えたいこと―子どもの視点で伝える震災漫画(全3巻)」
井上きみどり/著
公益社団法人3.11メモリアルネットワーク 刊
2021年3月制作の同名の漫画動画を書籍化し、出版した3冊組の漫画冊子です。漫画動画は石巻の「伝承交流施設MEET(ミート)門脇」にて常設公開中です。
「次世代の子どもたちを対象にした震災伝承と防災教育の施設を建てたい。漫画で何か展示できないか?」と運営団体から依頼されたのが開館5カ月前。早朝から深夜まで仕事部屋にこもり、取りつかれたように制作した日々を思い出します。
本作で私が最も伝えたかったのは「災害は起こる。だけど人間には乗り越えていく潜在的な力がある」ということ。そのメッセージがこれからの困難な時代に生きる子どもたちへ届くことを願っています。
◇「福島からあなたへ」
武藤類子/著
森住卓/写真
大月書店 刊
2011年の福島原発事故から半年後に、東京の明治公園で開催された6万人の集会でのスピーチ原稿を収録した、心揺さぶられる本です。
「人類の平和のために生きてほしい」というご両親の願いで「類子」と名付けられた武藤類子さんは、お姉さんの白血病発症をきっかけに、1986年から原発問題に向き合ってこられました。自然を愛し、時として絶望感と無力感に襲われながらも「人間としての本当の豊かさとは何か?」と訴えることを諦めない姿に感銘を受けます。
忘れられないのは「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」という一文。その真の意味とは?何度も読み返したくなる1冊です。
紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます
問合せ:市民図書館
【電話】261・1585