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スギ眼科クリニック
杉紀人 医師

■アイフレイル(目の衰え)について
フレイルとは、『虚弱・衰え』という意味で、健康だった人も年を取るにつれて全身の臓器が衰え、筋力も弱くなってきます。目も体の一部ですので、加齢による衰えが生じます。夜間の運転がおっくうになったり、細かい字を読むのが大変になったり、常にまぶしさやかすみを感じるなど、このような状態を『アイフレイル』と呼びます。
多くは老眼などの加齢によるものですが、中には重大な病気が隠れていることがあります。成人の視覚障害の原因となる主な疾患は、緑内障や糖尿病網膜症、白内障、黄斑(おうはん)変性などで、これらが視覚障害の全体の4分の3を占めています。さらに、これらは発症してすぐに症状が出てくるわけではなく、10年あるいは20年の期間を経て進行し、初めて症状が出ることもあります。しかしながら、初期の段階で病気を発見して対処できれば、将来的に目の問題で困ることを防止できます。そのためには、なるべく早めのアイフレイルチェックが必要です。
アイフレイルによる視機能の低下は、身体活動の減少から筋肉量や体力の低下にもつながり、転倒や骨折のリスクを高めます。また、認知機能の低下も招くなど、精神・心理面への悪影響も知られています。
さらに、視力が悪いことで社会参加や外出の機会が減少し、社会とのつながりが希薄になる恐れもあり、最終的には健康寿命の短縮につながっていくことも考えられます。健康寿命を延ばすためにも、早めのアイフレイル対策を始めましょう。

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