くらし 令和7年度大蔵村施政方針 持続可能な村をつくり上げるために(2)

■医療と福祉の継続
無医村から平成3年6月の診療所開所と同時に着任され、その後診療所所長として35年間勤務された荒川所長が、令和8年3月をもって定年退職されます。今日まで多くの村民に寄り添い、本村の医療に貢献いただいたことへ、感謝の気持ちでいっぱいです。多くの村民が、今後の診療所の運営を心配されていると思いますので、荒川所長のご意見を踏まえ今後の方向性を早急に示したいと考えます。
過疎地域において地域医療体制の確保は重要な課題であり、患者がその病状に見合った機能の医療サービスを適切に受けられる体制を維持することが求められます。高齢世代が増える一方、労働世代が減り、医療、介護に携わる人の数が限られるため、限られた医療、介護資源を有効かつ効率的に活用する必要があります。
最上地域唯一の中核病院である県立新庄病院が移転し早1年半が経過しました。予防医療を含めた地域医療において、自力での通院が難しくなった高齢者が安心して暮らすことができる在宅医療への取り組みは重要であり、今後も住み慣れた地域で豊かに老いるための支援を行っていきたいと考えています。高齢者が病気や老化などにより要介護状態になっても、「医療」「介護」「生活支援」「介護予防」「住まい」などを一体化した状態で提供できる体制の構築が必要です。

■教育環境の充実
大蔵村では、「村づくりは人づくり」であるという信念のもと教育環境の充実に力を注いできました。
昨年度から、保育事業、幼児教育を健康福祉課から教育委員会に移管し、保小中の一貫教育を実施しています。保育所、小学校、中学校のそれぞれのステージで連携し、質の高い学びや育ちを保障するための教育環境を整備していきます。

■村の財政運営
役場新庁舎建設事業が、今年7月より本体工事に着手します。20億円を超える新庁舎建設が「住民サービスは低下しないか、村財政に影響はないか」と不安視されている方もいると考えます。村では、熊本地震を機に平成29年から本格的に新庁舎建設の検討を加速させ、公共施設等整備振興基金及び地方債を財源とし新庁舎建設事業を計画的に進めており、住民サービスに影響を及ぼさないよう財政運営を行っています。
しかしながら、令和7年度以降については、昨年7月豪雨の災害復旧事業等による財政調整基金の取崩しや増大する行政需要への対応、人口減少に伴う税収等の自主財源が減少する一方で、高齢化対策に伴う社会保障関連経費の増加が見込まれています。村道の道路改良事業等の大規模な投資的事業により借り入れた地方債の償還が令和9年度にピークを迎えます。
また、今後、既存の水道や下水道等の老朽化した公共施設の改修事業が必要となり、その財源対応による更なる基金残高の減少が懸念され、厳しい財政状況が継続することは覚悟しなければなりません。
依然として長期化が続く資源価格の高騰や円安による物価上昇、頻発化・激甚化する大規模自然災害への対応や令和7年度の国勢調査の人口減少による交付税への影響等、国の動向、とりわけ、地方財政対策の内容によっては、更に厳しい財政状況になることが想定されます。
財政運営について、新庁舎建設事業にかかわらず、今まで以上に歳出全体を通じて優先順位を考え、無駄を排除しつつ目的を明確にした事業により効果的な支出を徹底していかなければなりません。
こうした中でも、「第4次総合計画」の下記5つの施策を力強く推し進め、「おかえり、なりわい灯すきよらなる里」を目指します。

■村政運営施策の5つの柱
▽安心できる安全な生活空間づくり
住み続けたい村、住んでみたい村であるために防災力の向上と安全と安心の整備を目指します。

▽協働による持続可能な村づくり
循環型社会と住民が主役となる地域づくりを目指し、協働の取り組みで持続可能な村づくりを進めます。

▽地域の特色を活かした魅力ある産業づくり
農業の持続と担い手の育成、観光資源の最大限の活用、安心して働ける環境づくりを目指します。

▽地域総がかりの人づくり
地域ぐるみの子育て支援の推進と未来を担う人材の育成で、村の宝である「ひと」を育てます。

▽生涯すこやかに暮らせる地域づくり
健康づくりの推進や医療体制の充実などにより、誰もが生涯すこやかに、幸せに暮らせる地域を目指します。