くらし 令和7年度大蔵村施政方針 持続可能な村をつくり上げるために(1)
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- 自治体名 : 山形県大蔵村
- 広報紙名 : 広報おおくら 令和7年4月号
村議会3月定例会で新年度の村政の基本となる令和7年度施政方針が示されました。
その内容についてお知らせします。
令和6年1月元日の石川県能登半島を震源とする巨大地震が発生しました。東日本大震災の恐怖が再び脳裏に蘇った令和6年の幕開けでした。また、7月25日から26日にかけ秋田と山形の県境に梅雨前線が停滞し、庄内、最上地域が豪雨に見舞われ、本村においても河川や道路、農地等を中心に甚大な被害が発生しました。
災害により大きな打撃を受け疲弊した農業でしたが、令和5年産米の高温による生産量の減少、外食産業の急拡大により6年産の米価は大幅に上昇しました。農家にとっては、ようやく持続可能な稲作経営ができる明るい兆しが見えてきたように思います。
■人口減少問題
村政を執行するにあたって、人口減少問題は避けて通ることはできません。村の人口は、この20年間で1600人減少し、現在約2800人となっています。高齢化と共に出生者数の減少や、進学や就職等に起因した転出等により、人口減少に歯止めがかからない状況が続いています。
地方の力ではどうしようもないのがこの人口問題です。まずは、人口減少をできる限り抑制しながら、交流、関係人口を増やし、Iターン・Uターンを支援していきます。国の対応策を注視し乗り遅れることがないようにしつつ、これまで実施してきた子育て環境の整備等を更に充実させます。人口が減少しても安心して暮らせる村を目指し村政を進めていきます。
■防災対策
気温の上昇、大雨の頻発や熱中症リスクの増加、農作物の生産や品質低下など、気候変動に起因する事象が生活に大きな影響を及ぼしています。
本村においても、10年足らずのうちに度々過去に経験したことのない災害が発生しています。今後、「過去に経験したことのない災害」が常態化することが懸念されます。気候変動に対し、住民の生命と財産を将来にわたって守り続けることに取り組まなければなりません。まずは、災害発生時には「命を守る」ことを最優先し、地域防災計画に沿った迅速な対応が求められます。そのため、常日頃から状況に合った計画の見直しと住民への周知、また、職員の防災意識を高めるための研修、救命講習など、自発的な防災訓練の実施も急務です。消防団、自主防災組織、防災士、民生委員との連携強化は重要であり、村全域において災害対応力を高めていかなければなりません。
■産業の活性化
農業者の減少・高齢化が進む中、地域農業を持続的に発展させていくためには何と言っても、次代を担う後継者、新規就農者を確保し農業経営者として育成することが重要です。そのため、中学校、高校と連携し、昨年4月に開学した東北農林専門職大学への、村内出身者の入学を促進し、新規就農者対策を積極的に行っていきます。また、担い手の高齢化や国内外の競争力が激化する中、農地の集積集約化により生産性の向上を図ることともに、村重点振興作物のトマト等を代表とするブランド力の強化も図っていかなければなりません。
観光産業については、国内の観光需要は本格的に回復し、県内各地の観光地も国内外の旅行者で再び賑わいを取り戻していますが、本村の観光客数は令和元年までのコロナ前と比べ、依然として70%、対前年比でも90%と伸び悩みが顕著となっています。持続可能な産業として地元経済を支えていくには、構造転換が必要と考えています。観光客のニーズに合った観光協会の再構築、主要観光施設である肘折いでゆ館の運営見直し、各旅館施設におけるインバウンド対応や従業員不足等の課題を解決しなければなりません。また、「数」から「質」へのシフト、来ていただいた方がリピーターになる質の高いサービスを提供することを、観光事業者が一体となって進めていけるよう支援していきます。