くらし 特集 白河を盛り上げる地域おこし協力隊(1)

■地域おこし協力隊とは
「地域おこし協力隊」とは、人口減少や高齢化が進む地方が、都市地域から地域協力活動を行う人材を隊員として受け入れ、その地域に定住・定着してもらうことで、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度です。
任期はおよそ1年から3年で、任期中は隊員それぞれに設定されたミッション(地域課題)に取り組むことで地域の活性化を目指します。
市では、平成27年度から本制度を活用し、令和6年度まで、計13名を受け入れてきました。
現在活動している3名の活動内容と、任期満了で令和7年3〜5月に卒隊した5名の現在を紹介します。

■伊藤 一也(いとう かずや)さん
着任:令和5年6月
活動中
ミッション:空き家問題解消
年齢:42歳
前住所:千葉市
趣味:ドライブ
白河に来る前は、東京で18年間、通信系の会社で営業の仕事をしていました。
もともと地方移住に興味があり、会社を辞め「何か自分でやろう」と考えていた時、地域おこし協力隊が選択肢の一つにありました。
そんな中、地域移住に関するイベントで、白河が起業型地域おこし協力隊を募集していたのを見つけました。白河は一度行ったことがあり、縁がある場所だったので話を聞いたところ、自分がやりたいことが叶えられると思い応募しました。都会と田舎のバランスが良く、これから生活するイメージがつきやすかったことも決め手の一つでした。
協力隊になってからは、空き家利活用の促進に関する活動をしています。着任後1か月で「白河をワクワクさせる合同会社」を立ち上げ、空き家を取得・修繕した後に、利用希望者に貸し出す事業を行っています。また、空き家利活用の経験を踏まえ、空き家に関するセミナーや相談会も実施しています。
「地域課題を収益資源に」を理念に活動しています。これからも白河を拠点に、地域が持つ課題を収益につなげ、解決するモデルを作っていきたいです。いずれは県全体にも活動モデルを伝えていくのが目標です。

■奈良 卓(なら たく)さん
着任:令和6年6月
活動中
ミッション:高校生の支援
年齢:39歳
前住所:東京都文京区
趣味:読書
協力隊になる前は、IT企業でエンジニアとしてソフトウェアなどの開発業務を行っていました。キャリアの途中から、若手エンジニアの教育に携わるようになったことをきっかけに、人間の発達や成長に興味を持ち、コーチングを学び始めました。その学びを生かし、主に大学生にコーチングや就職支援なども行っていました。
その後も心理学や発達理論を学ぶ中で、成人になるまでの体験が、今後の人生を歩む上で重要な役割を果たすと感じるようになりました。学校教育に関心を持つようになったタイミングで、白河市が高校のユースワーカーの協力隊を募集していたことに縁を感じ、白河で活動する決意をしました。
現在は、白河・白河第二高校のユースワーカーとして、放課後に「第三の居場所」を提供するため、学生と対話を重ねたり「総合的な探求の時間」に、地域で活動する方から学ぶ機会を支援したりしています。
このような活動を通して、高校生が安心できる場所を作り、その上で新しい学び方を提供することを目指しています。
地域・家族の方とともに、若者たちを温かく見守りながら、教育に携わっていきたいと思います。

■児山 武士(こやま たけし)さん
着任:令和7年7月
活動中
ミッション:鳥獣被害防止対策
年齢:53歳
前住所:西会津町
趣味:映画鑑賞
大学を卒業してから約30年間、都内で主に銀行などで働いていました。会社員として働く傍ら、趣味で狩猟をしていましたが、そこで高齢化による深刻なハンター不足の現状を目の当たりにしました。自分の体が動くうちにこの課題を解決したいという思いから、退職を決意しました。
課題解決のためには、ハンターの関係人口を増やすことが第一と考え、公の立場で活動ができる地域おこし協力隊を探していたところ、西会津町が鳥獣被害防止対策の協力隊を募集していたのを機に活動を始めました。卒隊後、更なる関係人口の増加を目指し、関東圏からアクセスの良い白河で、引き続き協力隊として活動をすることにしました。
白河では、これまでの経験を生かし、狩猟に興味がある人や学校向けのイベントの開催、鳥獣被害防止に関する講習会など、関係機関と連携しながら活動していきたいです。また、私の狩猟スキルもグッと上がったので、皆さんが安全に過ごすことができるよう捕獲活動にも励みます。
クマやイノシシの出現によって不安な思いをすることがないよう、人と獣の境界線の整備や駆除を通し、皆さんが安全に日常生活を送ることができるよう努めていきます。1