- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県白河市
- 広報紙名 : 広報しらかわ 令和7年9月号
(う)
馬(うま)の市(いち)
空(そら)に響(ひび)いた
馬喰節(ばくろぶし)
馬の生産地といえば北海道が有名ですが、かつては福島県も一大産地でした。
白河周辺の地域では採草地として土地利用が行われていたこともあり、良質の馬が数多く生産され、江戸時代には藩が保護政策をとるほどであったと言われています。
そのような背景から、近代白河では製糸業や石材業に並んで「馬市」が代表的な産業となりました。
馬市とは、売り馬喰(ばくろう)と買い馬喰が直接交渉して馬の取引をするもので、9月下旬に開催されました。
1876年には、明治天皇の東北・北海道巡幸に際し、小峰城跡で「天覧産馬」が開催されています。
また、1897年に軍馬の供給を目的とする「軍馬補充部」が、西郷村に設置されたことも馬産振興に影響を及ぼしたとされています。馬市での取引量は、大正期から昭和初期には1万頭を超え、地域経済に大きく貢献しました。
しかし、1950年代に入ると、自動車の普及や農業の機械化により馬の需要は減少し、馬市は1964年に終焉を迎えます。
日本三大馬市の一つと謳(うた)われたまちの喧騒(けんそう)も、今では遠い記憶となってしまいましたが、かつて白河の秋には、馬の嘶(いなな)きと馬喰節(ばくろぶし)が響いていました。
問合せ:まちづくり推進課
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