くらし ≪特集≫11月は行政区加入促進月間 地域のつながりで住みよいまちをつくる(1)

市では、令和3年度から11月を「行政区加入促進月間」として位置付け、各区区長会の役員で構成する市区長連絡協議会と一緒に啓発活動などを実施しています。
行政区は、自分たちの住んでいる地域をより良くするために活動している地縁組織です。行政区について改めて考え、活動にぜひ参加してみませんか。

◆行政区って何?
現在、市内には182の行政区があります。行政区は、市が組織した団体ではなく、それぞれが独立した地域自治を担う自治会です。全国の市町村では、町内会や自治会と称する団体もありますが、本市では行政区という名称が使われています。
行政区では、話し合いによって、地域を良くするための事業や顔の見える関係づくりに取り組んでいます。

◆東日本大震災時での助け合い
平成23年3月11日に発災した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故では、地域の人のさまざまな助け合いがありました。
大津波が来ることを近所へ連絡し避難を呼び掛け、励まし合いながら高台を目指した市民がいます。
原発事故による避難指示が出された時には、市から行政区長を通じて避難先を移動することの呼び掛けを行いました。
また、通学路などを放射性物質の影響から守るため、低減化活動をした行政区がありました。
いざというときに、助け合えるつながりは大切です。

◆行政区の活動
行政区では、広報紙の配布や回覧板による情報提供を行うことのほか、行政区ごとにさまざまな活動を実施しています。話し合いで役員やルールを決め、運営に必要なお金は区費として各世帯から集めます。
行政区では、親睦を図りながら、地域課題を共有し解決して、住みよい地域づくりの活動をしています。
ごみ集積所の管理も活動の一つです。ごみ集積所は主に行政区が所有・管理しています。
地域の皆さんが安全・安心に暮らせるよう、防犯や防災に関する活動や地域の見守り活動を行っているところも少なくありません。行政区の活動を通じて「顔の見える関係」を構築することが安全・安心につながります。

◆加入率の減少
令和6年10月1日時点での本市の行政区加入世帯数は1万7688世帯です。現住人口(特別養護老人ホームの入居者などを除く)で割った行政区加入率は68%となっており、震災前と比較して減少傾向にあります。
東日本大震災で津波被害を受け、居住することができなくなった地域もあり、震災による地域コミュニティの枠組みの変化が加入率減少の要因の一つになっています。
また、原発事故によって本市に居住している被災町村からの避難者や移住者が増加しているのに対し、避難指示が出されていた区域の人口は、事故前の人口と比べると約3割程度にとどまっており、行政区内の居住者の状況も大きく変化しています。
令和8年度までに行政区加入率70%を目標に、市区長連絡協議会と市では加入促進に向けた各種取り組みを行っています。

◆加入して良かったこと・未加入の理由
市では、7月から8月にかけて、市民220人と市公式LINE登録者3179人を対象に行政区に関するアンケート調査を実施しました。
加入世帯が行政区に加入して良かったと思うことは「ごみ集積所が利用できる」「近隣で顔見知りの人が増える」「地域や行政などの情報が入手できる」との回答が多くありました。
未加入世帯が行政区に加入しない、または退会した理由は、「加入しなくても困らない」「加入するメリットがない」「役員等になりたくない」との回答が多くありました。
一方「行政活動への参加は任意である」「情報の周知や取りまとめをデジタル化する」「防災や地域美化など最小限の活動」という環境であれば加入したいという回答がありました。
加入については、緩やかに参加していただくことから考えていただくのもいいかもしれません。

≪インタビュー≫
森山 貴士(もりやま たかし)さん(小高区五区行政区)
11年前に本市へ移住し、元「青葉寿司」を改装してカフェ「アオスバシ」を経営。

行政区に未加入の方が気にしていることは、負担感や煩わしさかと思います。行政区活動の一つに美化活動がありますが、まちをきれいにする活動は、その地域に住む人全員が考えることだと思っています。
私の行政区は、みんな小高が好きで「みんなでまちを住みやすくしていこう」という雰囲気がありますが、活動への参加は任意のため、行政区に対して負担を感じたことはありません。
それでも行政区加入に不安を感じる方もいると思いますが、加入することで得られる「困ったときに助け合える」という安心感はそれ以上の価値があると思います。行政区でも、誰もが参加しやすい仕組みづくりや負担軽減に努めることで、加入への不安も減り、行政区に参加しやすくなるのではないかと思います。