くらし 磐梯町町民幸せプロジェクト Voice02
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- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県磐梯町
- 広報紙名 : 磐梯弘報 2025年7月号
■「町民の幸せ」を起点とした、みんなで創る持続可能な磐梯町
上杉 哲哉(うえすぎ てつや)
CLO補佐官(行政経営課行政経営・働き方の再デザイン特命係)
▽経歴
福島県出身。2児の父。個別学習塾運営、牧師、フリースクール、NPO運営を経て、日光市で行政書士事務所を開業。多世代との関わりを通じて、世代を超えて安心して暮らせる仕組みづくりの大切さを実感。妻が会津の喜多方出身、妻の祖母が磐梯町出身という深い縁から会津地方での活動が増加。会津地方での許認可業務を通じて磐梯町の取り組みを知り、令和6年12月より磐梯町へ。行政書士としての専門性を保持したまま専門職型地域おこし協力隊として活動。
◆磐梯町に関わることになったきっかけ
これまで個別学習塾運営、牧師、フリースクール、NPO運営を通じて多世代の方々と関わる中で、まちの仕組みと向き合うことが多くありました。現在、行政書士として中小企業の資金調達や許認可、事業承継などの支援を行う中で、懸命に努力される事業者の皆様と行政職員の皆様の姿を拝見し、「これまで築かれてきた制度を大切にしながら、さらに良いものにしていく方法はないだろうか」と考えるようになりました。
特に、三世代、四世代にわたって事業を続けておられる方々とお会いする中で、「この町の子どもたちが大人になった時も、安心して暮らし続けられる仕組みを残したい」という想いが強くなりました。
そんな時、会津地方での許認可業務を通じて磐梯町の「町民の幸せプロジェクト」について教えていただき、これまでの先輩方が築いてこられた町政の基盤を大切にしながら、さらなる発展を目指すこの取り組みに深く感動し、私もこの町の未来づくりに携わりたいと強く思い、磐梯町での活動を決意いたしました。
◆磐梯町でどういう仕事をしているのか、その仕事はどのように「しあわせ」につながるのか
私が担当させていただいているのは、磐梯町の「町民の幸せプロジェクト」の重要な取り組みの一つである「真のBPR」プロジェクトです。これは、町のルールや仕組みを町民の皆さんの暮らしがもっと快適になるように見直していく取り組みです。真のBPRとは、これまで先人たちが町民の幸せを願って築いてこられた条例や規則の意義を大切にしながら、現在そして未来の町民の皆さんにとって「より良い形にできないか」という視点で、一つひとつ丁寧に見直し、整理していく取り組みです。例規の変更や策定を通じて、役場での手続きをシンプルにし、町民の皆さんが大切な時間をご家族や地域活動により多く使えるような仕組みづくりを目指しています。従来の改善とは違い、まず「町民の幸せにつながっているか」を問い直すことから始める点が特徴です。
◆町民起点で「何が必要か」を問い直す
この仕事の進め方には、これまでの多世代との関わりの経験が深く活かされています。個別学習塾運営、牧師、フリースクール、NPO運営を通じて、子どもから高齢者まで幅広い世代の方々と関わる中で、「もっとわかりやすく、もっと心に寄り添える方法はないかな?」と常に考えてきました。
行政書士として会津地方での許認可業務に関わる中でも、町民の方々や事業者の皆様が複雑な仕組みに困惑される場面を数多く見てきました。
そうした現場での対話を重ねる中で、「町民の皆さんの幸せのために何が本当に必要なのか」を起点として、行政のあり方そのものを根本から見直すことの重要性を実感するようになりました。
この経験こそが、現在の「真のBPR」において「町民起点」の視点を大切にし、町民の皆さんを起点に据えて行政の仕組みを再設計していく取り組みの原点となっています。
◆真のBPRが町民の皆様にもたらす「幸せ」
具体的には、町の例規集に含まれる条例や規則、要綱などを一つひとつ丁寧にチェックし、それぞれのルールがなぜ作られたのか、その意義を理解した上で、これまで先人たちが町民の幸せを願って築いてこられた制度を大切にしながら、町民起点の視点から「本当に必要なルールを見極め、よりわかりやすく整理する」手法を用いてゼロベースで見直しています。
この真のBPRの成果をもとに、次は日本初となる「行政経営基本条例」の策定に取り組みます。この条例により職員の働きやすい環境が整い、町民の皆様により丁寧で迅速なサービスを提供できるようになります。
これらの取り組みが実現すれば、行政手続きの簡素化により皆様の貴重な時間が生まれ、ご家族や大切な活動により多く使えるようになります。そして「住民自治基本条例」の策定を通じて、町民の皆様が主体となって町の未来を決めていける真の住民自治が実現し、本当の意味で「町民の幸せ」を起点としたまちづくりが可能になります。
◆具体的な取り組みと今後の展望
この「町民の幸せプロジェクト」は、町長をはじめとする職員の皆様が町の未来を真剣に考え抜いて立ち上げられた、DX戦略室を源流とする意義深いプロジェクトです。
現在は町の例規集を中心に、町民起点で「本当に必要なものかを見極め、整理する」ことに重点を置いて進めています。
今後は、町民の皆様との対話の機会を積極的に設け、皆様の声を起点としたルールや仕組みの見直しをさらに深めていきたいと考えています。そして、行政経営基本条例、住民自治基本条例の策定においても、町民一人ひとりの想いや日常の気づきが磐梯町の未来を形づくる力となる、その実現に貢献していきます。
◆町民の皆さまへメッセージ
会津とのご縁で磐梯町に関わることができ、心から嬉しく思っています。行政書士として、そして一町民として、皆さんと共に安心して暮らし続けられるまちづくりに取り組んでまいります。
「こんなことで困っている」「こうなったらいいのに」といったお話があれば、どんな小さなことでも聞かせてください。町中でお見かけしたら、ぜひお気軽にお声がけください。
行政書士としての専門知識も活用しながら、皆さんが愛する磐梯町を、皆さんと共に歩んでいけたら—そんな想いで、日々取り組んでいます。
◆BPRとは
「Business Process Re-engineering」の略。日本語では「業務改革」。
業務の進め方を抜本的に見直し、再構築すること。複雑・煩雑化した業務の進め方を再構築することで、業務量の削減や住民サービスの向上につながる効果が期待される。