くらし 双葉町の未来を紡ぐ
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- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県双葉町
- 広報紙名 : 広報ふたば 2025年1月 災害版 No.164
令和7年の輝かしい新年を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から3月11日で15年目を迎えます。
昨年は、新しい年を迎えたばかりの元日に石川県能登地方で最大震度7を観測する地震が発生しました。発災から1年が過ぎた今もなお、能登地方特有の地理的な問題などから、復興の遅れが懸念されております。原子力災害により、全町避難から11年5カ月の年月が経過し、ようやく町への住民帰還が始まった双葉町の復興と重なる部分を感じております。被害の状況は違えども、ふるさとの復興を願う思いは同じです。一日も早い能登地方の復興を心から願いつつ、町の復興を全力で進めてまいります。
住民帰還が始まり、2年が経過しましたが、町内には現在約170人の方が生活をされています。
「住む拠点」として整備を進めております駅西地区は、昨年5月に公営住宅全86戸が完成し、現在は、分譲地を想定した土地の造成に着手したところです。さらに、生活をサポートするため、通所及び訪問介護サービスや地域包括支援センターなどを備えた複合的福祉サービス拠点の整備も進めており、引き続き、「住みやすい」まちづくりを目指して取り組んでいるところです。
「働く拠点」の中野地区復興産業拠点では、現在24社の企業と立地協定を締結し、うち18社が操業を開始しております。地元事業者の再開支援はもとより、新たな業種の企業誘致も実現しました。被災を伝承し、復興を祈念するエリアとして、交流人口のさらなる拡大を促進するため、今後も整備を進めてまいります。
駅東地区に目を向けますと双葉郵便局が13年ぶりに町内での業務を再開しました。
また、国登録有形文化財の旧三宮堂田中医院診療所を改修し、移住ニーズに応じた情報提供や、移住後の生活相談などの定住支援を行うための双葉町移住定住相談センターを開設しました。震災前から双葉町にお住まいの方々の帰還を進めることはもちろんのこと、新たに双葉町で生活したい、働きたいと望む方々に移住していただけるようにサポートしてまいります。
役場庁舎の北側と町体育館跡地に整備を進めている公設商業施設は、令和7年度中に完成予定です。スーパーマーケットと飲食店の出店が決定しており、町内に居住する皆さまや働く方々の生活環境の改善に寄与するものと大いに期待しております。
町内の帰還困難区域については、昨年4月、特定帰還居住区域復興再生計画に7つの行政区が追加され、帰還に向けた除染やインフラ整備などを進めているところです。現在実施している第2期帰還意向調査を踏まえ、解除区域の範囲等について、国と協議してまいりますので、皆さまのご協力をお願いいたします。今後とも、帰還困難区域全域の避難指示解除が実現されるよう粘り強く要望を継続してまいります。
営農再開に向けた取り組みについては、避難指示が解除された上羽鳥地区と水沢地区でコメの試験栽培を行いました。収穫したコメの放射性物質を検査した結果、一般食品の放射性セシウム濃度が基準値未満となり、安全性が確認されました。来年度以降も試験栽培を継続し、作付けや出荷に結び付けていくとともに、養液栽培施設の整備など、新たな取り組みも進めてまいります。
町内における町立学校の再開については、先月双葉町学校設置検討委員会で基本計画案が策定されました。今後は、計画案を踏まえた施設の整備を進めていくとともに、令和10年4月の開校に向け、双葉町ならではの教育カリキュラムの策定に取り組んでまいります。
本年も復興まちづくり計画(第三次)に基づき、町民の皆さまの早期帰還に向けた支援や生活環境の整備、移住の促進など、一つ一つの施策を着実に前進させ、双葉町の未来を紡ぐことで、「双葉町に帰ってきて良かった、双葉町を選んで良かった」と感じていただけるよう議会と連携しながら職員一丸となって全力で取り組んでまいります。
寒さ厳しき折、町民の皆さまには健康に留意され、本年が幸多き年になりますようご祈念申し上げ年頭のあいさつといたします。
双葉町長 伊澤 史朗