- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県利根町
- 広報紙名 : 広報とね 2025年7月号 No.736
■多文化共生のまちを目指して
利根国際学院
多文化共生とは、お互いの文化を尊重しながら、対等な関係を築き、地域社会の構成員として共に生きていくことです。
町でも、コンビニやスーパー、公園などの身近な場所で外国人を見かけることが多くなりました。令和7年3月末時点で、利根町に住む外国人は約900人となっており、年々増加しています。その中でも、特に多いのが外国人留学生です。
今回のシリーズまち・ひと・しごとでは、外国人留学生が通う利根国際学院について、校長の矢部曉子(やべあきこ)さんにお話を伺いました。
▽利根国際学院とはどのような学校ですか?
利根国際学院は平成26年10月に設立された日本語学校です。現在約200名の生徒が在籍しています。
ベトナムの留学生サポートセンターから学生を受け入れているため、ベトナム国籍の学生が最も多いのですが、ネパールやスリランカ、ミャンマーなどさまざまな国からも留学に来ています。
学生の多くは、日本での就職を希望しています。そのためには、専門学校で専門的な知識や技能を習得しなくてはなりませんが、専門学校に進学するためには一定の日本語能力が必要となり、まずは日本語をしっかりと学ぶことが求められます。利根国際学院では、専門学校に進学するために必要な日本語能力を身につけ、社会に出た時に役立つ教育をしています。また、卒業後も困っていることがあればサポートできる支援体制を整えています。
▽授業では日本語以外にどのようなことを教えているのですか?
日本の社会で生活していくには、日本の常識やマナーを教えていかなければと考えています。そのため、入校直後にオリエンテーションを実施して、基本的な交通マナーや生活マナーなどについて教えています。特にゴミ出しについては地域ごと、資源ごとに色分けしたカレンダーを、寮や教室に貼り出し、厳しく指導しています。
どうしても文化が違うため、その国では当たり前だったことが日本ではマナー違反・ルール違反になってしまうことがあります。日本で暮らしていくための「あたりまえ」を教えることも教員の役割だと考えています。
▽外国人留学生と地域の方との関わり方について聞かせてください
学生たちは普段、教員以外の日本人と接する機会が少ないので、地域の方と関わることで、よりリアルで自然な日本語コミュニケーションの場を得ることができます。そして、自分の日本語がどのくらい通じるのか、相手の日本語がどのくらい分かるのかという指標にもなります。
最近は、地域の方が学校や学生のことを知りたいと言ってくれることも増え、地域のイベントに参加させていただいています。また、地域の方を学校にお招きして、外国人留学生と話をする機会をつくり、地域交流やコミュニケーション作りを心掛けています。
地域の方と学生の間で、時にはトラブルになってしまうこともありますが、それでも、外国人留学生のことをよく見てくださっていて、声をかけてくださることはとてもありがたいと感じています。
▽最後にコメントをお願いします!
外国人留学生にとって日本語学校は、日本での生活の第一歩となる大切な場所です。日本語の習得だけでなく、日本の文化や生活習慣を学び、地域社会にスムーズに溶け込む力を育てています。教員も、学生が日本の生活に馴染めるよう温かく丁寧な指導を心掛けています。
開校当初は地域交流が少なく、閉鎖的だったので、学生と地域の方との間に距離がありました。しかし、現在は、地域の方に外国人留学生をもっと知っていただき、共に理解と信頼を深める取り組みを進めています。
異なる文化や言葉への不安・恐怖心は、「知らない」ことから生まれます。だからこそ、私たちは地域の方との対話を大切にし、開かれた学校づくりを目指しています。また、地域の方からもご意見をいただきながら、より良い共生社会の実現に努めています。外国人留学生は、大きな期待を背負い日本で夢を追いかける若者たちです。これからも地域とともに歩み、互いに支え合える関係を築いてまいります。
町では現在、多文化共生の取り組みを推進しています。外国人はよくわからない、怖いというイメージを持たれがちですが、外国人学生たちもまた、慣れない異国の地で不安を抱え、日本人に話しかけるのが怖いと感じることもあるそうです。彼らは18歳、19歳で親元を離れ、日本にやってきました。文化の違いで戸惑うこともあるかと思いますが、あたたかく見守っていきましょう。
▽学生×インタビュー
・ディン ティ ハイ イエンさん(ベトナム)
親切な人が多い利根町が大好きです。日本語の先生になることが夢で、休日も日本語能力試験N2の取得に向けて勉強しています。近所の人ととすれ違うときに「おはよう」と挨拶ができたことが嬉しかったです。
・ニリエラゲ ヌワン サンジィワさん(スリランカ)
季節の美しさを感じられる日本が好きで来ました。卒業後は車の専門学校に進学し、日本で働きたいと考えています。近所の人が優しく、畑で育てたキャベツをもらったこともあり、人との繋がりを感じられたことがうれしかったです。
・ゴ ヴァン ミンさん(ベトナム)
故郷の田舎に似た利根町は静かで住みやすいです。将来は通訳の仕事がしたいので、ベトナムの短期大学進学のために勉強中です。新聞配達のアルバイトでは失敗もありましたが、店長が優しくフォローしてくれたことが心強かったです。
・サン サン モさん(ミャンマー)
利根町は自分の母国と環境が似ていて住みやすいです。将来はITの専門学校に進学し、日本のIT会社で働きたいと思っています。休日に隣の公園で友達と遊んでいるときに近所の方が声をかけてくれたことが嬉しかったです。
問合せ:利根国際学院
住所:布川3562-11
【電話】0297-85-4884
教員数:27名(非常勤含む)