文化 なす風土記ものがたり vol.65

■庚申講(こうしんこう)
民間信仰の一つである庚申講の掛軸を紹介します。
庚申講は、旧暦で60日に一度めぐってくる庚申の日に仲間内で集まり、青面金剛(しょうめんこんごう)や猿田彦命(さるたひこのみこと)などの掛軸を掲げ、徹夜をして語り明かすのが一般的です。人間の身体の中には「三尸(さんし)」という虫がいて、庚申の夜、人間が寝ている間に身体から抜け出し、天帝にその人の罪を告げるといわれていました。天帝は、その罪の内容によって寿命を縮めるなどの罰を与えるため、人々は三尸が身体から抜け出さないよう庚申の夜は徹夜をした…という奈良時代、仏教などとともに渡来した「道教」の思想に基づく信仰です。平安時代、貴族の間に広まり、その後武士階級にも取り入れられました。江戸時代になると庶民の間にも広がり、昭和40年代くらいまでは、どこの地域でも行われていたようですが、生活様式の変化や少子高齢化、近年ではコロナ禍の影響もあり、継続している地域は少なくなりました。
庚申講の内容や進め方は、集まりごとに異なるようです。当館には蛭田地区と下石上地区で使用されていた掛軸などが収蔵されています。

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