- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県大田原市
- 広報紙名 : 広報おおたわら 令和7年11月号(No.1340)
■赤土に埋まっている
先般、日本で初めて旧石器を発見した、相澤忠洋(あいざわただひろ)氏を題材にした映画『赤土に眠る』の制作発表が行われました。ここで言う「赤土」とは、赤といいつつも黄色い「関東ローム」と呼ばれる土のことで、市内でも畑の耕作や工事の際によく見られます。
栃木県では、約1万4~5千年前、つまり縄文時代のはじめごろに男体山から噴出した七本桜軽石層や今市軽石層と呼ばれるものがローム層の最上部(最も地表に近い部分)に見られます。つまり、この「赤土」に埋まっているものは極めて古いものである、ということです。
本市のこうした時代の遺跡・出土品としては、狭原から出土した大型尖頭器(せんとうき)や川木谷(かわきや)遺跡から出土した磨製石斧(ませいせきふ)がありますが、当館のすぐ北、石田遺跡からも有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)と呼ばれる長さ3cmほどの槍先として使った石器が出土しています
「赤土」から遺物が出土する遺跡は調査の難易度が跳ね上がるので、担当者としては調査の時間・費用がかさんで頭の痛い話でもありますが、1万年以上前の人が作った物に触れられるのは、こうした仕事をしている役得なのかもしれません。
問合せ:なす風土記の丘湯津上資料館
【電話】0287‒98‒3322
