くらし 特集 まちと道(3)

■歩行者中心こそ求心力の核に。国内外で進むウォーカブル化
人口減少局面に入った国々の都市を中心に、公共空間の役割が見直され、「車中心から人中心への空間」への転換が進んでいます。居心地の良いまちであることは住む人・訪れる人誰もが望むこと。ここでは、具体的な事例を通して、ウォーカブルなまちづくりが地域に与える効果を探ります。

▽国内外で増加するウォーカブル化の事例
車中心から人中心に空間を再編した象徴的な事例は、ニューヨーク・タイムズスクエアです。街路の大半を占めていた車道を歩行者空間に転換し、これによってテレビなどでよく見る賑わい空間を実現しました。車道空間の再編を伴う場合には、実際に車両の乗り入れを一定期間禁止し、交通への影響を見るなどの社会実験を行い、実際の整備につなげる手順が一般的です。国内でも地域の実情に応じた検証・整備を進める地域が増えています。

▽人中心に転換する多面的なメリット
人中心の空間に再編することによって、歩行者が増える、周辺の商業地の売上が上がる、地価が高まる、土地の利活用が進むなどの多面的な効果が期待できます。土地の利活用が進めば、さらに人が増えてにぎわいの連鎖がエリアに広がっていくことも考えられます。これからは「人中心」を視点に、新たなまちづくりを構想することも必要と言えるのではないでしょうか。

●1 アメリカ合衆国 ニューヨーク市 タイムズスクエア
タイムズスクエアはかつて、街路空間の89%(約17,000平方メートル)が車道に占められている一方、人々の交通はその82%が歩行でなされているというアンバランスが生じていました。そこで、半年間にわたる社会実験を経て、従来の大量に自動車の行き交う道路から恒久的に広場化がなされ、歩行者優先の街路に転換しました。

▽主な効果
・歩行者数が35%増加(48万人/日)
・歩行者負傷者数が35%減少
・車両の移動速度が最大17%改善
・二酸化窒素が41%減少

●2 愛媛県松山市 花園町通(はなぞのまちどお)り
花園町通りは松山市の中心、松山市駅と堀之内公園を結ぶ幅40mの道路。市民・行政・専門家が一緒になり7年の月日をかけて道路構成の見直しに取り組み、2017年9月、にぎわいと交流を育む都市の共有空間として再生しました。片側3車線あった道路を片側1車線に減らし、歩行空間を拡大するとともに、沿道と統一的なデザイン整備を実施。これにより、街路空間を「居心地がよく歩きたくなる」ウォーカブルな空間へと再構築しました。

▽歩行者数の変化[人/12時間]

▽地価の変化[千円/平方メートル]

●3 兵庫県姫路市 大手前通(おおてまえどお)り
車道中心だった駅前とそれに続く大手前通りの一部をトランジットモール(※)化するとともに、大手前通りの沿道事業者などが中心となって、くつろぎの場の提供やにぎわいづくりに向けた社会実験を実施。姫路駅周辺では、駅前広場や歩道などが整備され利便性が向上し、姫路城を中心とした観光によるにぎわいの高まりもあいまって、店舗・ホテルなどの需要が高く、地価が上昇しています。

▽駅周辺の商業地 地価公示価格

※トランジットモール:公共交通機関(バス、路面電車など)を優先し、一般車両の進入を制限・禁止したエリア

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※(本紙)6~7ページの各図表は、国土交通省の公表資料を基に作成。