- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県那須塩原市
- 広報紙名 : 広報なすしおばら 令和7年8月20日号(ナンバー437)
■[最終回]上下水道のこれから
きれいな水をいつでも使えること、使った水や雨水が適切に処理されること。
これらは当たり前のように思えますが、実は多くのお金と、たくさんの人によって支えられています。
皆さんに知ってほしい「これからの上下水道」についてお伝えします。
■上下水道の「課題」
▼管路と施設の老朽化
これまでご紹介したとおり、水をきれいにしたり、汚水を処理したりするためには、たくさんの施設が必要です。
▽施設の老朽化と事故のリスク
いま、日本全国で施設の老朽化による水道管の破裂や陥没事故が相次いでいます。
本市にある上下水道施設は昭和40年代から50年代までに建設されたものが多く、老朽化への対応とともに耐震化を進める必要があります。
▽安全を守るために
老朽化による事故を防ぐために、計画的に設備の点検をしたり、古くなったものを新しいものに交換したりする必要があります。
更新が必要な施設はこれから増えていくため、それにかかる費用も今後増えていく見込みです。
▼人口の変化
市の人口は、少子化により少しずつ減っていくことが見込まれています。
人口が減ると、水道や下水道を使う人も減ってしまうため、水道料金や下水道使用料の収入が少なくなることが見込まれます。
〔第2次那須塩原市総合計画後期基本計画より〕
▼費用と収入のバランス
エネルギー価格や資材価格の高騰、そして人件費の上昇により、維持管理の費用は増えていきます。
その一方で、人口が減ることで使用料などの収入は減少していきます。この状況は、これからの上下水道事業の運営にとって大きな課題です。
▽増えるコスト
・修繕費の増加(管路や施設などの経年劣化)
・物価の高騰など
▽減る収入
・料金収入の減(人口減少)など
■今後の見通しはどうなっているの?
▽水道事業
▽下水道事業
市では、水道ビジョン、下水道ビジョンの中で今後のお財布の見通しを示しています。
このグラフからわかるように、人口減少により料金収入が伸びず、維持管理や施設の更新のための費用が増えていき、収入額が支出額に追いつかない状態が続く見込みです。
さらに、近年の物価や人件費の上昇により、実際に工事にかかる費用は、グラフに示されているよりも高くなる可能性があります。
▽より正確な見通しのために
今後かかる費用をできるだけ正確に把握するため、令和7年度から8年度にかけて、さらに詳しい計算(シミュレーション)を行います。
■上下水道審議会とは?
お財布の状況が健全でないと、安全で安心な水を作ることや、適切な汚水処理ができなくなってしまいます。「どうすればこれからも安心して水を使えるのか?」「これまでと同じ料金でまかなえるのか?」といったとても重要なことを話し合い、決めるために「上下水道事業審議会」を立ち上げます。
▽審議会の役割
審議会では、学識経験者や地域の使用者といったさまざまな立場の人が集まり、市の上下水道の「お財布」の現状や、将来の課題についてじっくりと話し合います。
そして、話し合いの結果を踏まえて、今後の上下水道事業の進め方を決めていきます。
▽皆さんへの影響について
もしかしたら、水道料金や下水道使用料にも影響があるかもしれません。
これは、将来にわたって安定した上下水道のサービスを提供していくために、どうしても必要になる可能性があるからです。
■みんなで支える、未来の上下水道
私たちが毎日当たり前に使っている水。その裏側では、安定した供給と処理を支えるために多くの施設と人が働いています。
市では、市民の皆さんがこれからも上下水道を安心して利用できるよう、管路や施設の適切な更新計画、将来を見越した財政計画を立て、その実現に向けた最適な方法を検討していきます。
問い合わせ:[西]管理課
【電話】0287-37-5109