くらし まちかど*リポート

『地域の風土に合った太鼓づくりを』

寺澤 真一さん

寺澤さんは、江戸時代から続く市内老舗太鼓店の6代目です。祭りで使う和太鼓を中心に製造・修繕し、丸太をくり抜くところから皮なめし、皮張り、鋲打ちまですべての工程を一貫して、一人で行っています。製造した太鼓は、山あげ祭や三箇塙の天祭など市内の祭りをはじめ、福島県や茨城県など県外でも広く使用されています。
幼い頃から祖父や父の手伝いで太鼓づくりに間近で触れてきたこともあり、太鼓職人の道へ進んだ寺澤さん。寺澤さんがつくる太鼓は、栃木県の風土と生活の中で受け継がれてきた工芸品として「県伝統工芸品」に認定されています。また、寺澤さん自身は、太鼓作りの高度な技術や技法の持ち主として「県伝統工芸士」に認定されました。寺澤さんは「太鼓をつくる前には必ず使われる場所に足を運び、地域の風土や祭りの雰囲気を確認して、その地域に適した太鼓づくりを心がけている」と話します。
「仕事は地味だけど、祭りのときは派手に使われ、自分がつくり上げた太鼓が祭りの一部にあるのが嬉しい」と目を細める寺澤さん。今後について「太鼓づくりへの常日頃の研究心を忘れずに、感動を与えられるような音の太鼓をつくる職人になりたい」と笑顔を見せました。