子育て 特集 おいしい学校給食、笑顔の理由(2)

■おいしい給食を作ってくれる調理員さんの声
毎朝、自分の健康状態を記録し、手を洗いアルコール消毒をしてから調理室に入ります。新鮮な食材を使い衛生に注意しつつ効率的に調理を進めます。大量の食材を扱うため体力が求められ、汗をかくことも日常茶飯事です。特にスパゲッティなど麺類の調理は大変です。給食は決まった時間に提供しなければならず、午前中は時間との闘いで配送。特に菌の繁殖しやすい夏は食中毒に注意が必要です。
苦労して作った給食を子どもたちが美味しく食べてくれるのは嬉しいものです。子どもたちの「おいしかった!」という言葉が私たち調理員の最大の喜びです。

阿部友香さん
坂本恵さん
原田尚美さん
島田タマヱさん
石塚愛子さん
君島亜美さん
渡会(わたらい)淳さん
山根智恵さん

◇勝負飯の作成
勝負飯とは中学生が残食、偏食を減らそうと考案したメニュー。この時は体育祭に向けて気分が上がるような、美味しくて栄養価の高いメニューを作りました。
※詳しくは本紙をご覧ください。

◇給食で大人気の味を自宅で再現 キムチーズ肉じゃが
チーズのコクとキムチの香りが、肉じゃがのベースとなる出汁の風味に深みを与えます。

▽作り方
(1)ジャガイモは一口大、タマネギはクシ切り、ニンジンは厚めのいちょう切り、さやいんげんは3cm幅、豚肉は食べやすい大きさに切る。
(2)鍋に油をひき、豚肉を炒め、タマネギ・ニンジンを炒めていく。そこにジャガイモを入れて混ぜ、油が回ったら、水・中華スープの素を入れ煮る。
(3)アクをとって、さやいんげん・さとうを加え、柔らかくなるまで煮る。
(4)火が通ったら、しょうゆ・白菜キムチ・ピザ用チーズを加え、ひと煮立ちさせ、出来上がり。

豚肉とチーズが主なたんぱく質の源です。キムチは発酵食品で、ビタミンCやビタミンKが豊富です。また、キムチには乳酸菌が含まれており、腸内環境を良好に保つ手助けをします。

■給食を彩る、心の主食。ごはん、パンについて知ろう
給食で美味しいパンやごはんを届けている、太田市の「トーモーパン」を取材しました。工場内に足を踏み入れると、こんがりと焼き上がったパンの香りが漂い、思わず食欲がそそられます。工場内では、日夜懸命に働く皆さんの努力と工夫が詰まった製パンの秘密が隠されていました。

◇衛生・品質管理
工場での衛生管理や品質管理の取り組みは、多角的かつ徹底的に行われています。その具体例として、1年365日にわたる空間除菌の実施があります。これにより、製造環境を常に衛生的に保つことに努めています。また、HACCP委員会(※1)の設置により、製造プロセス全体にわたって潜在的な危害を分析し、重要管理点を特定することでリスクを未然に防ぎます。
さらに、工程管理においても製造指示書を活用し、各プロセスでの品質基準や手順を厳密に遵守。この実施により、製品の一貫した品質を保つための基盤が確立されています。加えて、スタッフの健康状態を管理するための健康チェック表を活用し、従業員の健康を維持しつつ、製造環境における安全性もさらに向上させています。
これらにより、消費者に対して安心かつ安全な製品を提供することが可能となっています。
※1 HACCP委員会…食品の生産過程において発生し得る危害を分析し、その危害を防止するための重要管理点を特定・監視する役割を担っています。

◇年間約7,700kg!
町の給食で使用されているお米は、町内産の「あさひの夢」です。パンには群馬県小麦「ゆめかおり」100%のパン、そして群馬県産の米粉を使用した米粉パンがあります。ごはんは「連続炊飯器」と呼ばれる業務用の炊飯設備で炊き上げられ、反転ほぐし機でほぐした後、クラスごとに計量しています。パンは大型ミキサーで捏ねた生地を十分に発酵させ、製パンラインで分割・成形し、オーブンで焼き上げます。焼き上がり後、熱が取れてから1つずつ個包装します。給食に提供されるパンには卵を使用しておらず、一部には乳を使用していないパンもあります。通常のパンに比べて給食用のパンは塩分量を抑えて製造されます。給食のごはんは当日の朝に炊き上げ、パンは前日に製造されたものが配送されています。
地産地消の観点では、炊き込みご飯の一例として「上州かみなりごはん」があり、群馬県産のこんにゃく、ごぼう、にんじん、鶏肉などが使用されています。ごはんは金属製の食缶に盛り付けられ、保温ケースに収納された上で納品されています。パンは前日に製造されたものを翌日提供しています。
県内で最も多く提供されているパンはコッペパンやコッペパンの背割りで、他にロールパン、黒パン、ミルクパン、ゆめロール(群馬県産ゆめかおりのパン)なども提供されています。生産量については、太田市で14,500食、館林市で2,200食、千代田町で1,000食分が生産されています。千代田町では、令和6年度に米飯給食が週3回程度実施されており、年間約7,700kgの精米が使用されています。1日あたりの米の消費量は約70kgです。

▽あさひの夢
あさひの夢は、適度な粘りと柔らかさが特徴です。炊き上がりがふっくらとしており、食べやすい食感が楽しめます。ほのかな甘みと香りがあり、口当たりも優しいと言われています。

トーモーパン 代表取締役 星野一俊さん
(公財)群馬県学校給食会 業務課長 岩佐大輔さん