くらし 水城公園駐車場内へのスターバックス出店の中止について

このたび、スターバックスコーヒージャパン株式会社から、たとえ一部であっても出店に対する懸念がある状況では、提案した店舗コンセプトである「つなぐカフェ」の実現が難しいとして、出店を中止したい旨の申し入れがありました。市としては、これを受け入れ、出店は中止することになりましたのでご報告します。

これまで、市民の憩いの場である水城公園に、飲食や休憩ができる施設を望む声が多く寄せられていました。市では、こうしたご意見を踏まえ、水城公園を市民や観光客の交流拠点とし、地域の活性化と水城公園のさらなる魅力向上を推進するため、「水城公園飲食施設出店者募集事業」を企画し、公募を実施しました。
市の事業趣旨に賛同し、ご応募いただいたスターバックスコーヒージャパン株式会社(以下「スターバックス社」)の出店が、審査会を経て決定し、令和6年10月18日に基本協定の締結に至りました。
市では、この基本協定の締結により、店舗の位置や駐車場の規模がほぼ確定したことから、「関係者への説明が早急に必要」と考え、協定締結日の夜に第1回目の忍・行田公民館利用者への事業概要説明会を開催し、その後も数回の説明会を実施してきました。
説明会ではさまざまなご意見をいただきましたが、忍・行田公民館の利用団体の代表者を中心に組織された「忍・行田公民館の駐車場を守る会」から、令和6年12月中旬に「忍・行田公民館の駐車場におけるスターバックス建設の中止を求める要望書」が署名簿とともに市に提出されました。また、市への提出に先立ち、すでにスターバックス社に直接同趣旨の要望書が提出されていました。
これを受け、スターバックス社から市に対し、反対されている方々にもご納得いただけるまでは出店を進めることができない旨が伝えられ、事業が中断することとなりました。そのため、市では、契約の相手方であるスターバックス社に対し要望書を提出した代表者の方々に面会の申し入れを行いました。
これは、要望書提出の前提が事実と異なること、つまり、出店に伴い駐車場は減少するのではなく、むしろ公園としては駐車台数が増え、公民館利用者の便宜となるということを説明するために伺ったものです。また、併せてスターバックス社に対し、直接要望書を提出したことにより事業が中断する事態が生じているということを丁寧にお伝えしました。
一方で、何人かの署名者から市に対し、署名はしたもののそれを撤回したいとの申し出がありました。そのため、こうした申し出に対応するために、市が署名撤回届を作成し、駐車場が増えることを説明した上で、撤回を希望される方には撤回届にご記入いただきました。
一部報道機関などが、署名者への訪問について「表現の自由を侵害し憲法違反に当たる」と指摘していますが、市の行動は、真実を丁寧に説明するためのものであり、これには当たりません。
また、忍・行田公民館利用者の利便性を高めるため公民館北側に専用駐車場を整備することについて、12月定例市議会の最終日に整備費の予算を上程し、議員の皆さんに説明を行った上で、原案可決の議決をいただきました。
なお、市とスターバックス社へ建設中止を求める要望書を提出した「忍・行田公民館の駐車場を守る会」からは、新たな駐車場が確保されたことにより目的が達成され、団体を解散するという意思が令和7年1月上旬に市に伝えられました。
しかし、その後も、スターバックス社には、出店予定地に出店しないよう再検討を求める「行田の明日を考える会」からの要望書の他、出店中止を求める匿名の手紙や電話などが寄せられました。
一方で、市には、昨年末の新聞報道を契機に「市長への手紙」や「市ホームページへの問い合わせ」を利用し、年齢、性別を問わず出店を求める声が多数寄せられ、スターバックス社宛ての多くの賛成署名も市に届けられました。
市では、多くの市民が待ち望む出店に向けて、この間も協議を続けてきましたが、令和7年2月上旬にスターバックス社から、出店事業に対して賛成の方と懸念を示されている方の両者の想いを一つにするため、地域住民の皆さんとの間で平和的かつ十分な話し合いをしてほしいとの要請がありました。そして、その結果を同年2月末日までに報告してもらいたい、スターバックス社では、その状況を把握の上で出店に向けた環境に至っているかどうかを総合的に検討し、最終的な判断をするとの意向が示されました。
この要請を受けて、市では、出店を懸念されている「行田の明日を考える会」および「忍・行田公民館運営委員会」と、それぞれ話し合いを持ちました。
「忍・行田公民館運営委員会」との話し合いでは、駐車場の増設に対してご理解いただいた上で、スターバックスの出店には賛成であるとの意向を確認できました。
しかしながら、懸念を示されている「行田の明日を考える会」との2回に及ぶ話し合いでは、スターバックスの出店自体には賛成であるものの、水城公園南側駐車場への立地には明確に反対と表明されました。公民館利用者の駐車場の利用が不便となること、店舗周辺道路の交通渋滞が懸念されること、また、新たに整備する公民館北側駐車場については、樹木の伐採は行わないことを説明しましたが、納得いただけず、自然破壊につながるとの指摘に変化はありませんでした。3月上旬に、市はこうした協議内容をスターバックス社に報告しました。
スターバックス社では、これらの状況を総合的に判断した結果、『住民の間で事業に対する意見の相違が解消されず、事業の進行に不安を感じる声が根強く残っている現状を重く受け止めていること、そのため、出店に際し大切にしている、地域社会の一員として寄り添い、共に成長することを通して、水城公園を訪れる方々にとって安心して集える場を提供すること、その実現が難しい』との結論に至り、水城公園飲食施設出店者募集事業への参加辞退が申し入れられました。
市としては、出店を望む多くの市民のご期待に添うことができず断腸の思いですが、出店誘致には事業者と市の合意が不可欠でありますので、これ以上事業を進めることができないと判断し、基本協定の合意を解除することを了承し、出店は中止となりました。
以上のとおり、水城公園駐車場内へのスターバックス出店の中止をご報告します。

問い合わせ:企業誘致課
【電話】550-1555