くらし いきいき行田人(ぎょうだじん)

■気持ちに寄り添いながら社会と繋がるきっかけを
田口 泰大さん(埼玉・49歳)

今月は市内の引きこもりの方の支援を行っているNPO法人にりん舎代表の田口泰大さんを紹介します。
田口さんは以前、障害者施設や就労支援センターなどに勤めており、就労支援をする中で、子どもの引きこもりに悩む両親から相談を受けることが多くあったそうです。また、県南部や都内の引きこもり支援を行う団体の見学、研修に参加する中で「自分も引きこもり支援をしていきたい」との思いが強くなり、市内や近隣市に引きこもり支援をする団体がないことから同法人を設立しました。
主な活動内容は電話や訪問、メールなどで引きこもりの方や、そのご家族などからの相談を受けること。また、火・土曜日には公民館などでゲームやイベントなどをして過ごせる「居場所づくり」の活動もしています。
田口さんは引きこもりの方について「何か生きづらさを抱え、それを声に出せない人たちですが、誰もがなり得るものです」と語ります。そして、こうした方への支援について「その人がどんなことを思い、苦しんでいるのかを知り、その気持ちに寄り添う」ことが大切であると言います。
田口さんの支援は、単なる「居場所」の提供だけでなく、引きこもりの方々にとっては自信を取り戻し、社会との繋がりを再構築するきっかけにもなっています。実際に支援を受けた方々からは「心の支えになった」との声も多く寄せられ、活動の成果が実を結んでいます。こうした支援が地域全体に浸透することで、より多くの人々が心のケアを受けられる社会が実現することが期待されます。
今後はさらに活動を広げ、「引きこもりに対する偏見を持つ方にも理解を深めてほしい」と語る田口さん。田口さんの願う地域ぐるみによる、引きこもりの方への支援の輪は少しずつ広がりを見せています。