くらし 埼玉県こども動物自然公園 動物ZOO鑑

園長おすすめ ~キリン~

■自慢はキリン
野口幸子(のぐちさちこ)園長

動物園で働いていて一番の自慢は、職場にキリンがいることです。動物がいるのは当然と思われるかもしれませんが、毎日キリンのそばで仕事ができるのは、本当に特別なことだと感じています。
私が初めてキリンの飼育に携わったのは、飼育係になって3年目のこと。先輩とキリン舎の2階でエサの乾草を準備していると、柵越しにキリンが下から顔を出してきました。まじかに見るその大きさに感動したことは今でも忘れられません。数年後、映画『ジュラシック・パーク』で、ブラキオサウルスが木の上にいる主人公の足元の葉を食べるシーンを観たとき、「キリンと同じだ!」と興奮したのを覚えています。恐竜は過去の存在ですが、キリンは今を生きる奇跡のような動物です。長い首や脚、独特の模様、そしてゆったり歩く姿。そのすべてが美しく、同じ時代に生きていられることをとてもうれしく思います。
約8年間キリンの飼育に携わり、何度か出産を見守ったことがあります。今年5月16日には、母親リンが6度目の出産を迎えました。今回は数日前に出血があり心配していましたが、30〜40分のスピード出産になり、赤ちゃんは1時間で立ち、2時間後には授乳も確認されました。とても安産で安心しました。
もちろん、すべてが順調なわけではなく、育たない命もあったり、人工哺育になったりしたケースもあります。それでも1982年、多摩動物公園から初めて4頭のキリンがやってきて以来、出産、新しい血統の導入、他園への搬出などを重ね、多くのキリンたちがここで生きてきました。
6月中旬からは赤ちゃんの公開が始まり、親子で過ごしたり、群れの仲間に入ったりする様子が見られています。ぜひ赤ちゃんに会いに来るとともに、動物園でキリンの魅力を感じてください。

※8月号は植物ZOO鑑です。

○埼玉県こども動物自然公園
〒355-0065 岩殿554 
【電話】35-1234【FAX】35-0248
※開園時間等はホームページをご確認ください。