- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県富士見市
- 広報紙名 : 広報富士見 令和7年8月号
●INTERVIEW
埼玉県警察 東入間警察署長 友則 歩(とものり あゆみ)氏
◇手口を知ることが被害を防ぐ第一歩に
・特殊詐欺の存在を知りながら被害に遭うのはなぜか
市内では窃盗や詐欺といった刑法犯の認知件数が令和7年5月末時点で389件(暫定値)に上り、前年の同じ時期に比べ124件も増加している状況ですが、被害が特に増加しているのが特殊詐欺です。市内ではオレオレ詐欺、次いで還付金詐欺による被害が多く、令和7年5月末時点で28件(暫定値)発生しており、前年の同じ時期に比べ21件も増加しています。犯人の話術が巧妙化しており、被害者を冷静な判断ができない状況に陥れることで、指示どおりにお金を振り込んでしまうといった被害につながっていることから、相手が分かるまで電話に出ないよう留守番電話に設定する、家族はもちろん同じ地域にお住まいの方々で声をかけ合うことを心がけ被害を防ぎましょう。
・若者も被害に遭う「警察官かたり」の手口とは
特殊詐欺と聞くと、オレオレ詐欺や還付金詐欺を想像するかと思います。また、こうした特殊詐欺の被害者は多くが高齢者であるとの認識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、最近では20~30歳代の若い人にも被害が広がっており、中でも警察官を装った「警察官かたり」の特殊詐欺による被害が増加しています。「警察官かたり」の特殊詐欺では、実在の警察官を名乗る犯人から「ある詐欺事件であなたに犯人の疑いがかかっているため、銀行口座を確認する」などといった電話がスマートフォンにあり、テレビ電話で偽物の警察手帳や逮捕状を見せることで信用させ、「逮捕されないためにはお金が必要」などと言いネットバンキングに送金させるといった手口が使われます。
このように特殊詐欺の犯人は時代に合わせた手口を日々研究していると考えられますが、まずはその手口を知ることが被害を防ぐ第一歩になります。
・特殊詐欺だけじゃない、市民にとって身近な犯罪とは
特殊詐欺に加え、市内全域で発生しているのが侵入盗、いわゆる泥棒です。令和7年5月末時点で40件(暫定値)発生しており、前年の同じ時期に比べ29件も増加しています。空き家や空き家に見える家が被害に遭いやすく、特に注意が必要なのが空き家に見える家での被害です。家にいる時、侵入してきた犯人と鉢合わせた状況では、最悪の場合、住人の命に関わることもあります。
主な対策としては、庭の雑草除去など、犯人に空き家だと思わせないようにすることです。また、来訪者は必ずインターフォンで確認し、安易に玄関ドアを開けないようにしましょう。外出時に犯人から狙われないために、部屋の明かりをつけて外出するのも有効です。犯人は侵入に時間がかかることを嫌がるため、ガラスフィルムの貼り付けやクレセント錠(窓の鍵)カバーの取り付けも効果的です。
◇地域のつながりが被害を防ぐことにつながる
今年に入り、管内にお住まいの皆さんのご協力で特殊詐欺の被害を防げたケースも多くあります。被害者は自分がだまされていることに気づいていないため、家族や近所の人といった周りの人の声かけ、関心が被害の防止につながります。過去には管内で、玄関先で住人と若い男性が話すところを見かけた近所の人が不審に思い、警察に通報したことで現金を奪って現場から逃走する犯人を逮捕できたケースもあります。おかしいなと思ったら警察に通報する、声をかける勇気を持ってほしいと思います。
特殊詐欺の手口を知ること、地域内でのあいさつや防犯の視点を持って日常生活を送る「ながら防犯」の実践が不審者の排除につながり、自分や周りの人を守ることにもつながります。特殊詐欺や侵入盗などの被害を1件でも減らすため、今後も取り締まりをより一層強化してまいりますので、引き続き、管内にお住まいの皆さんのご協力をお願いします。
問合せ:協働推進課
【電話】049-252-7121