- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県坂戸市
- 広報紙名 : 広報さかど 2025年9月号
■島田橋(島田の渡し)
◆時代劇の世界観と自然が調和する冠水橋
島田橋は、越辺川に架かる木造の冠水橋(増水時に水に沈む橋)で、趣のある外観から、時代劇や歴史ドラマなどのロケ地としても使われています。しかし、橋が架けられたのは明治中期以降であり、ドラマで描かれる戦国時代や幕末にはありませんでした。島田橋の位置する場所は、川越から児玉郡を結ぶ街道の川越児玉往還の中継地で、橋が架けられる以前は「島田の渡し」と呼ばれ、入間郡島田村(現坂戸市)と比企郡宮鼻村(みやはなむら)(現東松山市)を舟で結んでいました。
◇舟で川を渡る「島田の渡し」
「島田の渡し」は、明治8年(1875年)以前の景況を調査した「武藏國郡村誌(むさしのくにぐんそんし)」に記されています。島田村には渡し舟が二艘(そう)あり、内訳に「人渡一、馬渡一」と書かれていることから、馬も渡していたことがわかります。島田の宿場は馬継ぎ宿であった石井・塚越宿と高坂宿の中間に位置しており、当時の交通要所の一翼を担っていました。他の文献には、渇水期は仮の橋で渡り、増水期は渡し舟が利用されていた記録があります。
◇流失を防ぐ島田橋の工夫
明治から昭和初期にかけて、市内を流れる河川に架かる橋が度々破損、流失した記録が残っています。当時の島田の人々は、増水時に橋板を外して橋が流されないように工夫していたそうです。現在の島田橋は、平成26年(2014年)の台風で流失した後、その翌年に架け替えられたもので、上流側に流木除けを設け、橋板には手すりを設置せず、流されないように造られています。昔も今も、島田橋は自然と共存しながら、人々の生活を支えています。
所在地:島田98-7
問合せ:歴史民俗資料館
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