くらし 特集 令和6年度男女共同参画啓発テーマ 女性と農業(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県吉川市
- 広報紙名 : 広報よしかわ 2025年3月号 No.830
全国的に農業従事者の減少や高齢化が進む中、国の調査では、女性農業者が基幹的農業従事者の約4割を占める重要な担い手として位置付けられているとともに、女性が農業経営に関与している場合、経常利益増加率が高いという報告があります。今後の農業の発展、地域経済の活性化のためには、生産・販売の現場で大きな役割を果たしている女性農業者がその能力を存分に発揮していけるような環境・体制づくりが求められています。そこで、より多くの方に、農業の最前線で活躍している市内の女性農業者を知っていただくことで、今後の農業におけるさらなる女性の活躍推進につなげることを目的に、市では「女性と農業」をテーマに取り組みを行いました。
○パネル展
男女共同参画啓発期間(令和6年6月23日から29日まで)に合わせ、おあしすにて実施。
○座談会
令和6年10月6日におあしすで開催した「産業フェア」のイベントプログラムの一つとして実施。
■世界におけるジェンダーギャップ指数
今の社会では、男性の役割・女性の役割など、個人ではなく「性別」によって生き方や働き方の選択肢、機会が決められてしまうことがあります。このように社会的・文化的な慣習やイメージ、役割分担によって作られる性別を「ジェンダー」と言います。性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会にしていくため、私たちは現状を知り、今できることを考える必要があります。
平成18年からスイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が毎年公表している、世界基準の男女格差を数値化した指標「ジェンダーギャップ指数」を見てみましょう。
グローバル・ジェンダー・ギャップ指数 2024
(世界経済フォーラム「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書(令和6年)」より作成)
この指標は、教育・経済・健康・政治の4分野で構成され、0が完全不平等、1が完全平等を意味しており、指数が「1」に近づくほど男女平等で、男女の格差がない状態を表しています。
日本は118位/146カ国
(前年から7ランクアップ)
政治・経済分野に課題
令和6年に発表された日本におけるジェンダーギャップ指数は118位と前年の125位から七つランクアップしているものの、依然として先進7カ国中で最下位となっています。また、アジア近隣諸国から見ても、ベトナム(72位)、韓国(94位)、中国(106位)より下回りました。世界中がジェンダー格差の解消へ取り組みを進めているのに対し、日本はそのスピードに追い付けていません。政治・経済分野での順位が低く、女性の参画に課題があることが示されました。
◆市内で活躍する10人の女性農業者へインタビュー
パネル展で掲示したインタビュー内容を一部抜粋してご紹介します。
Q:就農のきっかけは?
定年後スローライフの過ごし方として農業をやろうと、定年前から働きながら少しずつ農業を始めました。本格的に農業を始めてから15年ほど経ちます。ここで栽培している作物は、ブルーベリー、トマト、春菊、ミモザやユーカリなどの花材です。ブルーベリーは収穫体験で摘み取ることができます。それ以外に、メダカをハウスの中で育てており、最近では多肉植物も始めました。ここで育てた野菜は、直売はしていませんが、近所の農家さんと連携しながら宅配をしています。自分の体をいたわりながら楽しく農業に取り組んでいます。楽しさが勝って大変に思うことはなく、朝起きて農園の移り変わりを見るのが楽しみの一つでもあります。
田園ファーム
髙鹿俊子(こうろくとしこ)さん・訓子(くにこ)さん
Q:農業のやりがいは?
2年間の研修である程度の経験は積んだものの、いざ自分でイチゴ栽培をやってみると分からないこともたくさんあり、栽培の段取りを組み立てることがとても大変です。お客さまから、「おいしかった、また買うね。」と声を掛けてもらえた時はとてもうれしいです。くじけそうな時もありますが、納品している店舗から“完売”の連絡が来ると頑張ろうという気持ちになります。昨年から始めたことですが、母と収穫したイチゴを見て「動物に見えるよね。」と話をしたことをきっかけに、イチゴが動物の顔に見えるようにフィルムの上にシールを貼って出荷しています。例えば、イチゴの先が割れていたら耳と見立て、目のシールを貼りウサギのようにしてみたり…。どんな動物に会えるかはその時々のお楽しみです!!
永瀨瀨農産吉川いちごの里
永瀬美香(ながせみか)さん