くらし 特集 令和7年度三芳町施政方針(1)

■町制55周年 新たな時代へ GOGO三芳町!
混沌とした宇宙を陰と陽の相対性理論で説く世界観があります。陰と陽という動きが相互互換性をもって無限の創造変化が行われるという考え方です。『易経』では陰と陽のどちらかが強くなれば、どちらかが弱くなる。春夏秋冬の季節のように陰と陽は変化し循環し、対立しながらも助け合い、生かし合い調和を保っていると説いています。
新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有のパンデミックとの戦いと克服の5年間、まさに陰から陽へと時が変化し、陰と陽が調和し、新たな時を創造してきた宇宙の摂理のようなものを感じます。コロナ禍から今日まで、三芳町には陰の中にも多くの陽が生まれ、変化への兆しが見られました。
昨年末、「藤久保地域拠点施設」の工事を開始。未来の創造拠点について幾度となく意見を重ね、着工の運びとなりました。また、世界農業遺産に認定された武蔵野台地で関越自動車道三芳PAスマートICがフルインター化し、供用開始となりました。ここで「(仮称)地域活性化発信交流拠点」の基本計画が策定される予定です。そのコンセプトの一つに世界農業遺産を通じて三芳町の魅力や可能性を世界へ発信することも含まれています。
これらの施策は、ここに至るまでに10年、20年という歳月を要しました。長い陰の時から陽の時へと時が熟し、新たな時代の到来を感じます。
東武東上線鶴瀬駅を降りて武蔵野台地を望み、みらい通りを真っ直ぐ西に向かって歩くと、遥か彼方の富士が私たちを待ち受けています。その富士を見ていると、司馬遼太郎の『坂の上の雲』の一節が思いおこされます。
明治の時代と今日では、時代は大きく移り変わり、世相や価値観も当時とは比較にもならない。しかし、未来を見つめ、その夢や希望に向かって歩んでいく人の姿は永遠に変わらない。農業の町として世界から評価され、SDGsなど地球規模の問題を視野に入れ、新たな時代を切り開こうとしている三芳町と、近代国家建設に向けて懸命に生きた当時の人々の姿が重なっているようにも思えます。
富士の彼方の青い天に一朶の白い雲が輝いているとすれば、前のみを見つめてのぼっていき、新しい時代を切り開いていく時だと考えます。
55周年の節目を迎える今年、輝く三芳町の未来を切り開くべく、息むことなく自らつとめてまいります。
三芳町長 林伊佐雄

■町政運営方針 3つのポイント
今年度の町の指針を3つのポイントにまとめました。

◆未来へGOGO、三芳町!2025
○01 持続可能なまちを未来の子ども達に
ネイチャーポジティブ3つのアプローチ
昨年度の「三芳町政策研究所」では、こぶしの里でのホタルの再生を目的に、現地調査や研究発表がなされ、生物多様性の保全、「ネイチャーポジティブ」がまちづくりの重要政策課題であると報告されました。未来の子ども達に豊かで美しい自然環境を保全継承するために、3つのアプローチ((1)「ネイチャー『ネガティブ』」にならないこと(2)様々な立場を超えて住民、企業、行政、団体、教育機関等が連携を図り、課題や情報を共有し、協働・共創の輪を広げていくこと(3)子どもから大人まで全世代で取り組む活動であり、次の世代に継承していくこと)で「ネイチャーポジティブ」を推進していきます。

○02「四海兄弟」の共生社会目指して
東京2025デフリンピック
昨年9月に、姉妹都市ペタリング・ジャヤ市在住、ろう者でバティックアーティストのリム・アヌア氏が来日し、記念講演と作品展示を行いました。リム氏の作品の中でも目を惹くのは、家族がお互いに抱き合っている肖像画です。
お互いに思いやり支えあう姿に深い愛が感じられます。お互いに思いやり支えあう心が、様々な困難や試練をも克服し幸せへと導いてくれる。この心が隣人に、地域に、世界に広がることが誰一人取り残さない共生社会の実現に導いてくれるのだという啓示を与えてくれます。
デフリンピックが共生社会を更に推進し、四海が兄弟になるべく、三芳町としての使命を果たしていきます。

○03 子どもにやさしいまちづくり宣言
子どもの命と人権に「関心」と「思いやり」
昨年、子どもの権利の実現に取り組む「ユニセフ日本型CFCI候補自治体」に、埼玉県内の自治体ではじめて承認されました。これは、三芳町が「児童の権利に関する条約」や「ユニセフ子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」の理念を理解し、子どもにやさしいまちづくりに取り組む姿勢が認められたものです。今後は、「ユニセフ日本型CFCI実践自治体」への正式な承認をめざし、「日本ユニセフ協会」と連携した準備・検証作業を進めていきます。子どもにやさしいまちづくりについての宣伝や啓発を行い、子ども達の意見を具現化し、三芳町独自の視点もいれた「子どもにやさしいまち」を実現していきます。

※四海兄弟(しかいけいてい)世の中の人はすべて兄弟のように仲よく、愛し合わなければならないということ。

◆MIYOSHI 2025 TOPICS
○生物多様性の保全
ネイチャーポジティブとは?
「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことです。経済・社会・政治など、すべてにまたがって改善を促すことで、自然豊かなプラスの状態にしていくことが「ネイチャーポジティブ」の趣旨です。

○ろう者のオリンピック
デフリンピックとは?
デフ(Deaf)は「耳が聞こえない」という意味。デフリンピックは、ろう者のためのオリンピックで、2025年には夏季大会が日本で初めて開催されます。三芳町はホストタウンとして、マレーシア選手団の事前キャンプの受け入れ準備を行います。

○子どもにやさしいまちづくり
CFCIとは?
ユニセフが推進する「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」とは、市町村単位で「子どもの権利条約」に記された権利を実現させるための活動です。子どもをまちづくりの主体に位置づけ、みんなにやさしい町をめざします。