- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県東金市
- 広報紙名 : 広報とうがね 2025年5月1日号 No.1369
■認知症予防のコツ
・センター長 岩立康男
皆さまこんにちは。東千葉メディカルセンター・センター長の岩立です。私の専門は脳神経外科ですが、本日は「認知症の予防」というテーマでお話をしたいと思います。
認知症予防のコツを一言で言えば「刺激はしても酷使はするな!」ということになります。脳を刺激することの重要性は多くの人が感じていることだと思いますが、特に社会的活動の重要性が強調されています。人と会って会話をしたり、食事をしたり、一緒に何か作業をしたりすることは脳のいろいろな部位を刺激して活性化してくれるのです(『直観脳』著・岩立康男)。刺激が入らなければ脳の細胞は失われやすくなってしまいます。
さて、それではもう一つの「酷使はするな」とはどういうことでしょうか。こんな当たり前のことをなぜ強調したのか?
脳の細胞、ニューロンの形を思い出してみてください。たくさんの細い突起が出ていて他のニューロンとつながり合っている図をテレビや雑誌で見たことがあるでしょう。なんと一つのニューロン
に約1万個の突起があるのです。これらが全て生きた細胞膜で作られていますので、それを維持するためにたくさんのエネルギーが必要となり、大量の酸素が使われています。酸素を使えば、あの有名な「活性酸素」という毒性物質が作られ細胞膜を傷つけてしまうのです。これほど突起の多い細胞は他にはありませんので、脳の細胞は一番疲れやすい細胞と言ってもいいでしょう。疲れが蓄積すれば、脳の細胞は失われていくことになります。
今、社会全体で働き過ぎは良くない、ということが言われるようになった根本的な背景がここにあります。仕事は自然と同じような作業を繰り返すようになりますので、家に帰ったら、そして休日は全く違うことをするようにお勧めします。
とは言っても、社会的活動、特に仕事においては時に無理をすることも必要ですよね。少し疲れるくらいは、酷使までいかなければ脳にとっては良い刺激と言えます。認知症予防には、刺激と休息、バランスよく取っていくように心がけましょう。
問合せ:東千葉メディカルセンター
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