文化 先人たちの足跡No.309

■龍のまち「さかえ」の原点(二)
前号で紹介した安食商店通りをさらに歩きます。安食郵便局から、駒形神社方面へ進むと、善寿屋さんが見えてきました。左手に「善寿屋」と記載されたトラック、右手に店名の書かれた看板がみえ、栄町合併当時には、道の両側にお店があったことがわかります。
善寿屋さんは、開業が慶応年間(1865~68)に遡り、近江商人をルーツとする老舗です。近江商人といえば、江戸時代に、近江の特産物や、営業先各地の産物を売り歩く行商によって富を成した商人のことで、関東各地では、お酒や醤油などの醸造業を起こしていました。
戦前まで、善寿屋さんでは「鷲自慢」という銘柄のお酒が作られていました。明治期には、利根川の水運を活かして、この近くにあった安食河岸から東京方面へ出荷されていたそうです。
善寿屋さんの酒造りは、太平洋戦争による人手不足が原因で途絶えてしまいましたが、戦後は縄づくりを始めて、栄町が合併した頃には、肥料やお米を扱うようになりました。現在もお米や肥料などを扱うお店として営業されています。

〔昔〕
合併当時:左手奥に善寿屋のトラック、右手前に善寿屋の看板がみえる。この頃には自動車が普及し、善寿屋ではガソリンスタンドも営業していた。
〔今〕
現在:白壁に店名の3文字が書かれた大きな建物が善寿屋。向かいの敷地にお米の集荷トラックが停車している。現在は、駅前や長門橋でコンビニエンスストアも営業している。

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