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今月のテーマ:「ナトカリ比」をご存じですか?
管理栄養士:中村

◆ナトカリ比とは?
「ナト」は、食塩(塩化ナトリウム)の主成分である「ナトリウム」です。「カリ」は、野菜や果物に多く含まれる「カリウム」です。ナトリウム(食塩)のとり過ぎとカリウム不足は、血圧を上昇させ、心臓病や脳卒中を引き起こします。2つのバランス比である「ナトカリ比」を下げることで高血圧や心臓病、脳卒中の予防につながります。

◆ナトカリ比が高いと、心臓病や脳卒中による死亡リスクが高まります
死亡リスク

上のグラフは、1980年実施の国民栄養調査30歳以上の参加者を24年間追跡調査したものです。食事中のナトカリ比が最も低い群を1とした場合、最も高い群において心臓病死亡リスクは39%高く、脳卒中死亡リスクは43%高い結果となっています。よって、心臓病や脳卒中を予防するためには、食塩摂取量をできるだけ減らすと共に、カリウムの摂取を増やすことが重要になります。

◆ナトリウムを減らすコツ
高血圧予防のために、血圧が正常な方にも減塩がおすすめです。特に糖尿病や慢性腎臓病の方は、脳卒中・心臓病や腎不全の予防のためにも1日6g未満の減塩をおすすめします。

◇麺類のスープは残す
全部残せば2~3g減塩できます。汁は最後まで飲み切らないようにしましょう。

◇しょうゆやソースのかけ方
1滴ずつしか出ないしょうゆさしや、スプレータイプのしょうゆさしの利用、直接かけずに小皿に移してつけることで、気が付かないうちに食塩摂取量を抑えられるのでおすすめです。

◇酢・香辛料や低塩調味料を上手に活用
味が少し足りない時は、酢、こしょう、カレー粉、唐辛子、からし、ごまなど、食塩が入っていない調味料を利用してみましょう。ポン酢、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなどは食塩が少ない調味料です。これらを上手に使用することで減塩かつ、おいしく食べることができます。また、減塩食品も活用しましょう。

◇栄養成分表示を確認
調味料や加工食品は、前もって食塩相当量を確認することで味付けする際の参考になります。

◆カリウムを増やすコツ
カリウムの摂取量は、1日に男性3000mg以上、女性2600mg以上が目標です。野菜、果物に多く含まれるカリウムをとると、ナトリウムが効率的に体外に排泄されます。但し、医師から腎臓病と言われている方は、カリウム摂取について医師の指示に従ってください。

◇果物は1日100~200gが目標
果物にはカリウムが豊富に含まれます。1日1~2つ分(100~200g)が目標です。少なくとも2日に1つ分の果物を食べましょう。

◇野菜は1日350gが目標
野菜にもカリウムが豊富に含まれています。1日350g以上の野菜を食べるのが目標です。調理前の生の状態で両手に山盛りが1日分の野菜量(約350g)です。野菜の付け合せは残さず食べる、毎食野菜を食べるなど、今より野菜を食べる量を増やしましょう。

◇主食、主菜、副菜の揃った食事
カリウムは果物や野菜に多く含まれていますが、ほかにも海藻類や魚、肉など食材全体に含まれています。バランスよく食事をすることで効率的にカリウム摂取を増やせます。

◇飲み物
100%果汁、野菜100%ジュース、乳製品からは手軽に効率よくカリウムをとることができます。また、お茶やコーヒーにも一定量のカリウムが含まれます。果汁・野菜ジュースを飲む場合は、栄養成分表示などを確認し、食塩や砂糖が添加されていない製品を選びましょう。乳製品では、脂肪分の少ない低脂肪のものを選ぶのがコツです。

◆ナトカリ比測定の実施
町では、尿によるナトカリ比測定を毎月の健康栄養相談で実施します。ナトカリ比の至適目標は「2未満」、実現可能目標は「4未満」に提唱されています。まずは測定し、ご自分のナトリウムとカリウムのバランスを確認し、今後の健康管理に役立てていただきたいと思います。

参考資料:
・月刊地域医学
・日本高血圧学会ナトカリ手帳