- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都台東区
- 広報紙名 : 広報たいとう 令和7年7月20日号
■その四 蔦重ゆかりの人物(2) 朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)
江戸中期の戯作(げさく)者で本名を平沢常富(ひらさわつねまさ)といいます。出羽(でわ)の国くに久保田(秋田)藩の江戸留守居役(えどるすいやく)として、幕府や他藩との情報交換を行っていました。かつて、現在の台東区台東に藩主佐竹氏の上屋敷があり、「佐竹」の名は「佐竹商店街」として継承されています。
喜三二は、安永6年(1777)、蔦重と手を組み、道蛇楼麻阿(どうだろうまあ)という別名で洒落本(しゃれぼん)『娼妃地理記(しょうひちりき)』を発表します。以降数多くの作品をともに手がけ、蔦重にとって心強い作家の一人となりました。
◇『見徳一炊夢(みるがとくいっすいのゆめ)』朋誠堂喜三二作天明元年(1781)蔦屋重三郎出版
浅草の金持ちの息子・清太郎は、夢商いから栄華の夢を見せてくれる枕を千両で借り、夢の中で贅沢(ぜいたく)を尽くします。しかし、最後は全財産を失い、悟りを開いて修行に出るところで目を覚まし、注文していた蕎麦(そば)が届いて物語が終わります。実は枕を借りたところから夢で、清太郎は蕎麦が届くまでのわずかな間に二重に夢を見
ていたのでした。儚はかない夢であっても「見るだけ徳」というお話です。恋川春町(こいかわはるまち)作『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』にならった本作は、文人の大田南畝(おおたなんぽ)による黄表紙の評判記『菊寿草(きくじゅそう)』の中で最も高い評価を得ました。
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