くらし [特集]もしかして認知症…?(2)

◆一人で悩まないで
誰もが認知症になる時代。介護者は男性の場合も女性の場合もありますが、特に男性の介護者は、支援を自ら求めず、抱え込みがちという研究結果が出ています。心と体の健康が、自身の人生を守ることにつながります。一人で抱えず、ご相談ください。ここでは、認知症の配偶者を介護する70歳代の男性2人の経験を紹介します。

・Aさん
58歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された配偶者を介護。
・Bさん
大脳基底核変性症を発症し認知機能低下、認知症を併発した配偶者を介護。

◇相談先をどこで知りましたか?
(Aさん)過去に親族が介護保険やサービスを利用したことがあり、地域包括支援センターの存在を知っていたので、すぐに相談できました。
(Bさん)相談先を知りたくて、必死になってインターネットで検索しました。ある時、「認知症の人と家族の会」を知り、横浜での集まりに参加しました。そこで、医師や専門職から大和市内に地域包括支援センターがあることを教えてもらいました。

◇相談してよかったことは?
(Bさん)介護保険の申請や訪問医など、必要な情報を的確に紹介してもらえました。症状が進行して妻に家を閉め出されたときは、どうしたらいいか、親身に話を聞いてもらえて安心できました。

◇これから認知症のかたを介護するかたに伝えたいことは?
(Aさん)相談することで、必要なサービスを受けることができ、私自身にも少し余裕ができたと思います。症状などに変化を感じたときは、以前の状態との比較を記録しておくと役立ちます。
(Bさん)とにかく一人で悩まないでほしい。必ず助けてくれる人が近くにいると信じてください。

◆認知症の人の介護者の心理ステップ
認知症のさまざまな症状に向き合う介護者は、戸惑ったり、介護に疲れ果てたり、絶望的な気持ちに陥ったりしながら、日々の介護を続けています。
認知症の人の家族の思いは、次の「4つの心理ステップ」((公社)認知症の人と家族の会副代表理事 杉山孝博医師考案)をたどりながら変化していくと言われています。自分の今いる位置を確認すると、気持ちが整理できるかもしれません。

(1)戸惑い・否定
今までできたことができなくなるなど、本人の言動に戸惑い、「こんなはずではない」と否定しようとします。他の家族にも打ち明けられず、一人で悩む時期です。

(2)混乱・怒り・拒絶
本人との向き合い方が分からず、混乱したり、本人を責めたり、拒絶したりします。疲れや不安が増大し、絶望感に襲われやすい時期です。

(3)割り切り・あきらめ
医療や介護のサービスを利用し、負担感は軽くなります。徐々に認知症を理解して介護に精通し、怒っても仕方がないと思うようになります。

(4)受容
認知症への理解が深まり、本人の心理や言動、あるがままの姿を受け止められるようになります。

認知症のかたの介護者向けの冊子「かいごのこころ」をごらんください。
※二次元コードは本紙をご覧ください。

◆認知症のあるかたとともに歩む
市は、認知症とともに歩むまちを目指し、さまざまな取り組みをしています。認知症に関わる市民のかたの声を紹介します。

◇認知症世界の歩き方for(フォー)キッズ 参加者
・認知症の祖母と暮らす 田邉政翔(まさと)くん(小学6年生)
鏡の中の自分に話しかけたり、家にいるのに「家に帰る」と言ったりする理由が分かりました。おばあちゃんは認知症でも、学校であったことを優しく聞いてくれるので、一緒に暮らせてうれしいです。

・認知症サポーターとして活動する 大滝昌司さん
10年以上前に介護予防サポーター講座を受講してから、イベントのボランティアなどをやっています。今は一人住まいなので、家にいるよりも外で活動していた方が楽しいです。

・認知症の配偶者の介護を経験された 内野昭紀子さん
夫は妄想があり、「さっきご飯を作ってたのは誰? 知らない人だから名前を教えて」と言うこともありました。ほかの病気もあって、困ったときは訪問看護師さんに相談して助けてもらいました。夫が亡くなった今は、趣味を楽しんでいます。

◆やまとカフェ(認知症カフェ)
もの忘れの心配のあるかたとその家族を中心に、交流する場です。認知症サポート医のミニ講話、個別相談もあります。開催日は今号18ページをごらんください。

◆公認心理師による認知症相談・介護者交流会
公認心理師に、認知症のかたを在宅で介護する悩みや気持ちの整理をするための相談ができます。介護者同士が気軽に語り合う交流会もあります。開催日は今号ほんし18ページをごらんください。

◆地域包括支援センター
認知症のことなどでお困りのときは、お住まいの地域を受け持つセンターへご相談ください。

出典:筧裕介 and issue+design「認知症世界の歩き方 実践編」
参考:(公社)認知症の人と家族の会「認知症のある生活に備える手引き」

◆市の相談窓口
・認知症灯台
(保健福祉センター人生100年推進課)
【電話】260-5641(相談専用ダイヤル)
保健師、社会福祉士などの職員が認知症に関する相談に総合的に応じます。認知症に関して、相談先に迷ったときなどの窓口としてご活用ください。

問い合わせ:保健福祉センター人生100年推進課認知症施策推進係
【電話】260-5612【FAX】260-1156