健康 認知症になっても「安心して暮らせるまち」を(1)
- 1/30
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県海老名市
- 広報紙名 : 広報えびな 令和7年9月1日号
認知症は、誰もがなる可能性がある身近な病気になりつつあります。市は、医療・福祉の専門機関や地域住民と連携し、「認知症かもしれない」と思った時も、認知症と診断された後も、安心して暮らせるような支援体制づくりを進めています。市が提供している認知症支援を紹介します。
■支援1/海老名市認知症初期集中支援チーム
認知症の疑いがある人や、認知症と診断されたが医療・介護サービスを利用していない人とその家族を支援するため、「海老名市認知症初期集中支援チーム」を「えびな脳神経クリニック」(めぐみ町3-1ビナガーデンズパーチ6階)に設置しています。医療・介護の専門職で構成されているチームです。
同クリニックは県指定の認知症疾患医療センターでもあり、医療と介護の連携を担う中核機関です。
▼対象者
自宅で生活している40歳以上で、認知症の疑いがあるまたは認知症と診断されており、(1)~(3)のいずれかに当てはまる方
(1)適切な医療・介護サービスを受けていない
(2)医療・介護サービスを利用していても症状が悪化して対応に悩んでいる
(3)認知症の治療を中断している
▼支援の流れ
▽STEP1 相談をする
本人や家族が海老名市認知症初期集中支援チーム【電話】046・236・2188や、居住地域の地域包括支援センターへ困り事を相談します。連絡先など同センターの詳細は、市ホームページをご覧ください。
▽STEP2 初回訪問
チーム員2~3人が自宅へ訪問します。健康状態や日常生活の状況を確認し、緊急性などの判断をします。
▽STEP3 初期集中支援
医療機関の受診や介護サービス利用を促します。必要な介護サービスなどの情報提供をします。約6カ月以内の支援です。
▽STEP4 他機関との連携
医療機関やケアマネジャーへ引き継ぎを行い、支援を継続します。
■支援2/認知症サポーター養成講座
市は、認知症サポーターを増やすための支援もしています。認知症サポーターは「なにか特別なことをする人」ではありません。病気への正しい理解と、他人事ではないと認識することから役割が始まります。
認知症サポーターになるには、自治体や企業が実施する「認知症サポーター養成講座」を受講する必要があり、市は年2回開催しています。
同講座は、自治会や企業などからの依頼に応じた出前講座も行っています。ことし3月末時点で合計6504人のサポーターが誕生し、日常生活での見守りや支援の輪が広がっています。サポーターが増えることで、認知症の人やその家族がより安心して暮らせる環境も広がります。
講座修了者には認知症サポーターの目印「オレンジリング」と「サポーターカード」を進呈します。
申し込み方法などの詳細は、広報えびなで随時お知らせします。出前講座の詳細は、市ホームページをご覧ください。
▽認知症サポーターキャラバン
認知症サポーターキャラバンは、認知症サポーターを養成し、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指す仕組みのことです。
▽マスコットキャラクター ロバ隊長
ロバ隊長には、認知症サポーターキャラバンを急がず、一歩一歩着実に進めていくという意味が込められています。
■支援3/チームオレンジ
チームオレンジは、「認知症サポーターステップアップ講座」の修了者などで構成した支援チームです。同講座は、認知症サポーターが知識や理解をさらに深め、支援活動につなげることを目的としています。市は、市内で活動する2団体をチームオレンジに指定しています。メンバーには認知症の人もいます。
認知症の人やその家族のニーズに合わせた具体的な支援につなげるための活動をしており、認知症の人も気軽に参加できる「オレンジカフェ」の運営や、地域のイベントでの啓発活動、買い物支援、見守りなど、それぞれの地域の実情に合わせて取り組んでいます。
▽共に支え合うまちを作りたい
チームオレンジ「東柏ケ谷5丁目自治会ゆいま~るの会」代表 井上よし乃さん
仕事柄、元々認知症を身近に感じていましたが、家族が認知症になったことで、さらに自分事として考えるようになりました。
チームオレンジに指定された「ゆいま~るの会」は、誰でも参加できる「オレンジカフェ」を開いています。皆さんからの「友達ができた」「毎週の楽しみができた」の声がやりがいです。私たちはサポートする側ですが、自分の予防にもなっているようです。
カフェでは認知症の方の家族から悩みを聞くこともあります。相談することで、少しでも前向きな気持ちになってもらえたらうれしいですね。
「ゆいま~る」は沖縄の言葉で相互扶助・助け合いという意味。子どもから高齢者まで「困った時はお互い様」の思いで共に助け合い、支え合うまちを作っていきたいです。