- 発行日 :
- 自治体名 : 新潟県関川村
- 広報紙名 : 広報せきかわ (2025年7月号)
■脳卒中の話 その三
坂町病院 院長 牧野邦比古
脳卒中の症状にはどんなものがあるでしょうか。脳梗塞と脳出血は血管が詰まるか破れるかという違いはありますが、症状は似通っています。半身の麻痺、言語の障害、ふらつき、物の見えにくさそして状況によっては意識の混濁もあります。これらが突然みられる場合、脳卒中を疑います。くも膜下出血はそれとは若干異なり、”今まで経験したことのない激しい頭痛”が特徴です。
症状には共通性がありますが、病態は異なります。それぞれがどのような疾患なのかをご説明していきましょう。今回は、この三疾患の中で最も多い脳梗塞に焦点を当ててお話しいたします。
”梗塞”とは主に動脈がふさがれてその先の組織が壊れてしまう状態を言います。心臓の筋肉を養う動脈がふさがれれば心筋”梗塞”ですし、脳の動脈がふさがれれば脳”梗塞”と言います。
脳梗塞には主に3通りの起こり方があります。(1)細い血管が詰まる場合、(2)太い血管が詰まる場合、(3)心臓内の血栓が脳の血管に流れ着いて詰まる場合です。
(1)と(2)は動脈硬化に関連があります。生活習慣病が原因となり、長い年月の末、血管の老化を生じ血管が固く壁がデコボコになってしまうため、血液が流れにくくなってしまいます。当然細い血管が詰まると病巣は小さく、太い血管ですと病巣は大きくなります。そのため(1)は軽症で、(2)が重症かというとそうとも限りません。麻痺の程度は逆のこともあるのです。ただし、意識の障害、認知機能の障害や失語症(言葉が理解できない、出てこないといった症状です)という高次脳機能の障害は(1)には生じず、(2)では起こり得ます。
予防は、生活習慣病の治療です。高血圧、糖尿病、脂質異常症そして喫煙です。今治療を受けておられる方は主治医の治療をしっかり受けてください。そして、健康診断で治療が必要と指摘された方、受診をためらっていませんか。将来、脳梗塞を患わないためにもすぐに受診してください。
発症してしまった場合の治療は、急性期と慢性期で異なった対応となります。症状が出たばかりを急性期といいます。その治療は、内服と点滴があるのですが、両者併用の場合もあります。(1)にしても(2)にしてもさらに病態は細かく複雑なため精査の上どの治療が最適かを判断して行います。慢性期にはおおむね、抗血小板薬の内服です。急性期に使う薬をそのまま継続しますが、薬の量や数を減らして継続することが多いでしょう。予防薬は決して自己判断でやめてはいけません。他院などで休薬を指示された時もまずは主治医と相談して判断を仰いでください。次回は(3)を中心にお話しします。
*このコーナーへのお問い合わせは、県立坂町病院へ。
問合せ:【電話】62-3111