くらし [予算特集]未来はぐくむ新たな一歩を(4)

◆夢と笑顔があふれるまちへ
町では、「ストップ人口減少」の三本柱以外にも、「未来」「夢」「暮らし」「笑顔」「恵み」がテーマのまちづくり計画「総合計画」に位置付けた事業を行います。
ここでは、「扇状地に夢と笑顔があふれるまち」を目指して進められる、さまざまな事業を紹介します。

◇海洋深層水の可能性、パワーアップ!
町では、海洋深層水の取水施設やその分水を行う「海洋深層水活用施設」など、周辺施設一帯からなる「海洋深層水パーク」を運営しています。
隣接地では、株式会社ウーケがパックご飯を製造し、炊飯の熱で高熱になった工場を海洋深層水で冷却。その過程で温まった海洋深層水はパーク内に戻り、株式会社海洋深層水かきセンターの牡蠣の浄化や入善漁協のサクラマスの養殖などに活用します。この「多段活用」は、環境にやさしく、低コストな手法として注目されています。
ウーケの工場増設、パーク対岸でのアトランド株式会社によるサーモンの陸上養殖施設の建設と、近年需要はさらに増加。需要に応えるため、町は令和4年に2本目の取水管を整備しましたが、能登半島地震で2本の管は損傷しました。その後、関係各所の協力を得て、半年という異例の速さで財源を確保し復旧工事に着手。今月には、長さ3km超の取水管2本の洋上工事が始まり、ことし12月までの復旧完了を目指します。
さらに新年度には、牡蠣の浄化施設拡大に向けた用地整備が始まるなど、海洋深層水の可能性はますます広がります。

◇まちづくりに若者の声を
町は「消滅可能性自治体」脱却を目指し、「若者の町外への流出」の抑制に重点をおいた政策案を、全職員で141件発案。そのアイデアを、34歳以下の若手職員らがさらに精査・改善する新たな取り組みを行うなどして、うち10件を事業化しました。

事業の一例:
・子育て支援施策…3歳未満の子を在宅で育てる保護者に、一時保育などに使える券を支給する「ママパパ休日プレゼント事業」
・若者の声をまちづくりに生かす施策…町に住む若者たちから、町で叶えたい夢を募集し、予算化を目指す「入善っ子の夢、叶えます事業」

そのほか、ことし1月に行われた「にゅうぜん中学生議会」で、中学生から提案を受けた施策のうち、花月公園への防犯カメラ設置事業を予算化するなど、若者の声を生かすまちづくりを目指します。

◇目指せ安全・安心のまちづくり
近年の自然災害の激甚化や頻発化に加え、令和6年能登半島地震での混乱を経験したこともあり、町民の皆さんの防災への関心が高まるなか、町では、町の防災力をさらに向上させるための、さまざまな事業を予算化しています。
災害時の円滑な避難所運営のために、さまざまな資機材を追加配備します。災害時に衛生的で快適なトイレ環境を提供するため「トイレトレーラー」を配備。高齢者や乳幼児、妊産婦などの要配慮者の受け入れに役立つ「プライベートテント」を増やします。
町民1人ひとりの防災意識向上のため、町内河川が関係する防災マップを更新、配布します(本紙22ページでも紹介)。
そのほか、海抜表示看板の一斉更新、災害時に避難所となる学校や地区公民館を開けられる鍵の収納ボックスの設置など、災害に強いまちづくりを進めていきます。