子育て 教育委員会連載 第1回(2)

■加賀市の学校のこれまで
加賀市は2023年に「加賀市学校教育ビジョン」を策定しました。
▽合言葉
BE THE PLAYER 自分で考え動く生み出すそして社会を変える

▽プロジェクト
(1)学びを変える
(2)誰一人取り残さない
(3)未来は自分で創る
(4)地域と一緒に

▽何が変わった?
いわゆる一斉授業スタイルから、「個々のスピードに合わせて、自分のペースで自分から学ぶ。そして沢山の人と対話して、助け合って共に学び合う」というスタイルへの転換を図りました。
具体的な内容は百聞は一見に如かずですので、YouTubeで「加賀教育」などと検索して過去のニュース番組などをご覧になるのが分かりやすいかと思います。

▽なぜ変えた?
子どもは一人ひとり多様であり、一斉型の授業で伝えられることには限界があるからです。身長が120cmと140cmの子どもしかいないクラスで、「平均をとって130cmのTシャツを作ったのでみんな着てください」と言っているようなもので、みんなにほどほどに合わせた単一のものを提供すると、誰の役にも立ちません。
また、「ある集団の中で、時間内に、決められた正解に到達する力」よりも「自ら課題を発見する力」「自他の力をフル活用して課題を解決していく力」を伸ばす授業に変えていく必要がありました。

▽どうだった?
学びが転換できていることは、以下のとおり子どもたちの感想にも表れています。これを単なる感想で終わらせず、加賀市の学校の「これから」につなげていきます。

◆子どもたちの感想
Q.授業では、学習の方法やペースを自分で選んだり決めたりしながら学んでいるか
A.いつもorだいたいそう72.9%
(小学生76.9%、中学生67.2%)

Q.授業では必要な時に必要な仲間と協力しながら学んでいるか
A.いつもorだいたいそう82.6%
(小学生81.6%、中学生83.7%)

■加賀市の学校のこれから
大前提として、学校の「これから」は、地域の皆様とも一緒に考えていくものですし、今年度は「加賀市学校教育ビジョン」の各プロジェクトを最後までやりきることが子どもたちのために最も重要です。その上で、今、学校を一周して、注力すべきと感じるものは以下3点です。

1 もっと“BE THE PLAYER”
「子どもに委ねる学び」はもっともっと良くできると感じます。たくさん新しいことにチャレンジする中で、課題も見えていますが、課題があるからといって「これまでどおり」に戻ってしまっては、子どもの今も未来も幸せにできません。子どもや地域の特性に応じた「自分で考え、動く、生み出せる」授業を引き続き追求します。

2 地域の未来を創る
子どもたちが地域の良さを発見し、将来どうしていきたいか、自分は将来どうありたいか考えていく、そんな機会をもっと充実させていきたいです。これは正解の無い難題ですし、「それっぽい」答えでは意味がありません。教科横断的な視点も必ず必要になります。子どもの生涯にわたる学びにつながる内容を考えていきます。

3 本気で「誰一人取り残さない」
全国的に急激に増加する不登校・不登校傾向の子ども、特別な支援を必要とする子ども、社会・経済的なバックグラウンドに不利がある子ども。子どもが抱える様々な困難に正面から向き合って、子どもが「学び」から取り残されることが無いよう、支援策を一層充実させていきます。特に不登校は、加賀市でも増加傾向にありましたが、右グラフのとおり、昨年度歯止めがかかり、今年度は「勝負の年」と認識し、
(1)学校内の相談先・居場所
(2)学校内外をつなぐ相談先(教育総合支援センター、チャット相談「ブリッジ」)
(3)学校外の居場所(教育総合支援センター内「Being」、児童センター)
の3つをいずれも充実させていきます。