子育て 教育委員会連載 第2回

■子どもたち一人ひとりに寄り添う、加賀市の「不登校支援プラン」
令和5年度、全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の状態にある子どもは、約35万人で、前年度より16%多く、11年連続で増加して過去最多となりました。加賀市でも同様の傾向でしたが令和6年度は増加に歯止めがかかっています。
加賀市では「そろえる教育」から「伸ばす教育」への転換を進めると同時に、多面的な不登校支援に取り組んでいます。学校の取り組み、市教委の広域的な取り組みの一例をそれぞれご紹介します。

■“教育の未来“は加賀にあり
▽「誰1人取り残さない」体育祭への挑戦
昨年、ある中学校で、例年行われていた全校生徒が参加する「全員リレー」についてアンケートをとったところ、賛成意見が約60%、どちらでもないが約30%、反対意見が約10%に分かれました。反対理由を聞くと、「足を引っ張るのが嫌だから」「迷惑をかけてしまいそうだから」「足が遅いコンプレックスをさらけ出す感じがする」などの意見がありました。
そういった反対意見を踏まえて、子どもたち自らが反対意見の人も「誰1人取り残さない」ためのルールを改めて考え、「自分で走る距離を選択できる」というルールを提案したそうです。
学校としては、変えた中身の正否というより少数の異なる意見を排除せず、異なる意見との共通点やどちらもが楽しめる第3の答えを考えるプロセスに学びがあると捉えています。

▽「加賀市不登校支援プラン」に基づく取り組み
無理に教室に「戻す」のではなく、多様な学びの場・居場所を提供していくという社会全体の方向性に即し、
・校内の居場所「スクールサポートルーム」を整備し、支援員を配置
・スクールカウンセラーによる相談体制の整備
・子ども1人1台のタブレットに、チャットで悩みを相談できる機能を搭載
・教育総合支援センター内の居場所「Being」、メタバース空間の「ビーさぽ」、市内6カ所の児童センターなど、多様な選択肢を提供
といった取り組みを実施しています。しかし、このような多様な学びの場や相談体制の情報は、これまで本人や保護者になかなか伝わりにくいという課題を抱えていました。また、不登校に関しては、保護者の困難に寄り添うことも重要です。そこで、「不登校サポートブック」を作成し、不登校の子どもたちや保護者に寄り添って支援します。

不登校支援に単一の正解はありませんが、これからも、子どもたちが「今」も「未来」も幸せに生きられるように、一人ひとりに寄り添いながら、「誰一人取り残さない」学びと多様な居場所づくりを進めていきます。